米国が実践した新軍事革命の影響

――イラク・中東戦争と朝鮮半島のゆくえ

「核の時代は、すべてを変えてしまったが、人々の考え方だけは昔のままだ。ここに最大の危険がある」(アルバート・アインシュタイン、1946年5月)   

                            藤岡 惇

Ⅰ.はじめに

3つの地球的課題

 わが地球を「希望の惑星」として維持していくには、次の3つの課題の解決が必要であろう。

①地球が温暖化期に入って、すでに万年。この間に大量の氷が溶け、130メートルも海面が上昇した。まさにその時、人為的原因によって温暖化の加速が始まり、貧困に苦しむ紛争多発地帯を直撃している。温暖化物質の排出量を大幅に減らすという規制をかけないことには、資本主義自体が存続不可能となった。

②21世紀に入り、核兵器未所有国を狙い撃ちする新型戦争が「反テロ地球戦争」という美名のもとで遂行されたが、紛争の激化と核兵器の拡散、新型核戦争の危機を招くという結果に終わった。国際関係の分野でも、核兵器禁止条約、紛争の非軍事的解決の義務付けといった新たなルール設定が求められる。

③新自由主義(脱規制)時代になると、資産格差が急激に再拡大するようになった。米国では、最富裕層7名の資産が下位半数の1.6億人の資産に、世界全体では最富裕層42名の資産が下位半数の37億人の資産に匹敵するに至っている。格差拡大は、デフレ・失業を加速するにとどまらず、地球温暖化と核惨事の防止を難しくする。格差縮小への転換が求められている。   

 これら3課題の解決に向かうために、1930-70年代の「修正資本主義」時代の経験を吟味・反省しつつ、「資本主義の再規制」が必要とされよう。1) このような問題意識に立って、私は、米国の宇宙軍拡経済のしくみを解明し、米国経済の平和転換の方策を探究してきた。前著『グローバリゼーションと戦争――宇宙と核の覇権めざすアメリカ』は、そのための試論であった。

本稿では、その後の事態の進展をふまえ、以下の4つの問題を解明したいと思う。

①ブッシュ政権は、なぜにターゲットを北朝鮮ではなくイラク、アフガン、中東に絞りこみ、「対テロ地球戦争」という美名のもと、イラク・中東戦争を始めたのか。②この戦争が、泥沼化し、米国史上最長の戦争となったのはなぜか。③この戦争は、米国と世界の情勢にどのような影響を及ぼしたのか。④2018年に入って、朝鮮半島では、MAD(交戦国の共滅をもたらす)型の核抑止力の北朝鮮による獲得と、韓国におけるキャンドル革命の実績に導かれる形で、歴史的な変化が始まった。この事態をどう評価したらよいのか。

論争史との関り

 資本主義の変貌や発展段階をどのような論理で把握したらよいのかをめぐって、本学会の内外で活発な論争が展開されてきた。

 一方では、資本主義の現局面を「国家独占資本主義(ケインズ型福祉国家)からグローバル資本主義への移行」と捉えるグループ(鶴田満彦、飯田和人など)が台頭した。ところが2008年恐慌を転機として、国家の復権ともいうべき現象が顕著となった。中国・ロシアや途上国では、国家資本主義の台頭が著しく、米国と中国・欧州連合の間では貿易戦争が始まるなど、単純な「グローバル資本主義」論では片付かない問題が噴出してきた。2)

 他方、国家復権の動きを追い風として、現局面を「ケインズ型国家独占資本主義から新自由主義型国家独占資本主義への移行」として捉えるべきだとするグループ(建部正義など)も現れてきた。3) とはいえ「国家独占資本主義」という牢固な枠組みに縛られたままで、現状の変化を正確に把握できるのかという疑問を感じずにはいられない。

 両説とも、事態のある一面を捉えていることには疑いはないが、弱点も隠せない。これに対して私は、自然主体的唯物論・アニミズム的唯物史観の一元哲学に立脚したうえで、政治と経済、文化と自然とを統合する観点から事態の変化を捉えることの大切さを説いてきた。4)  この観点に立ち、「規制下の帝国主義」の生き残り活動という視角から米国資本主義の運動を捉えたいと考える。なお私は、前著において、米国を「修正帝国主義」国と定義していたが、5)  帝国主義的政策の実践をめぐる規制と脱規制のダイナミズムをもっと自在に表現するため、こんごは「規制下の帝国主義」(自由な活動を規制・制限された帝国主義)と表現していくことにしたい。

私の観点から評価する時、五味久壽編『岩田弘遺稿集』にたいする後藤康夫の書評は含蓄が深く、学派間の生産的な対話と交流の扉を開くものであった。6)

 いまひとつ興味深いのは、石川康宏の一連の問題提起であろう。「剰余価値の生産という資本主義の目的そのものを制御する社会の力」が、資本主義という経済制度の変貌を生み出してきたことに石川は注目し、「資本主義の歴史的発展の度合いを骨太にはかる尺度は『国民により資本主義の民主的な管理がどこまで達成されているか』に求めるべきだ」と説く。基礎経済科学研究所の「人間発達の経済学」とも通底する提起だ。7)

 石川は、レーニンの『帝国主義論』の再検討を呼びかけて、次のように述べる。①第2次世界大戦後の植民地体制の崩壊を受けて、植民地支配を特徴とする『帝国主義』の時代は基本的に乗り越えられた。②『ポスト帝国主義』への資本主義の移行を可能にしたものは、独占資本主義の侵略性を抑止する各国内外での政治的上部構造の変化であった。③ただし独占資本主義固有の侵略的本性は継続しており、個々には様々な帝国主義的政策への固執や逆流は生まれうる。④特に米国のばあい、常時戦時体制を求める経済構造が残存しており、帝国主義的政策への固執が特別に強いことに留意・警戒すべきだと。8)

「帝国主義」の解体と「核の時代」の解体とは、ともに容易ならざる課題だ。旧支配層からの抵抗・逆流・暴発を警戒しつつ、どう時代を前に進めたらよいのか。手掛かりとなるのは、やはり「温暖化物質の規制」、「核兵器の禁止」、「格差の是正」――これら3つの規制を求める運動のパワーであろう。規制実施のための「グッド・ガバナンス」はどうあるべきか。上(国家、国家連合)と下(市民社会)とが連携して、市場経済(巨大資本)を鋏みこみ、どのような規制を講じていくべきか。この点が、論争史の焦点として浮かび上がってくる。9)

Ⅱ.冷戦期の米国資本主義の捉え方

――修正資本主義と「規制下の帝国主義」

資本主義の修正運動の展開

 資本主義経済をむきだしのままに放置すると社会(イノチの再生産の母体)が崩壊するか、共産主義革命が到来するという体験を通して、10) 1930年代から第2次世界大戦後にかけて、市場の暴走(恐慌)と国家の暴走(戦争)をともに規制しようとする運動が盛り上がった。むき出し資本主義を「福祉国家型資本主義」に改造しようとする修正運動である。11) J.F.ケインズの提言を受けて、投機マネーを国家的に管理し、生産的な投資に導く施策が講じられるようになった。日本の農地改革や財閥解体は、その一環だった。

歴史の逆転――産業資本主義の高次復活

 その結果、米国のエコノミストのJ.K.ガルブレイスやポール・スウィージーが活写したように、戦後の米国の大企業の多くは、金融資本から自立し、経営者資本主義(法人資本主義)となり、実業の世界に根差した企業家精神を高次復活させ、より高い生産力を獲得していった。この種の大企業群が、国家的に開発された軍事技術の民生転換の恩恵を受けつつ、戦後の技術革新を主導し,経済の高度成長を支えた。12)

同様の視点に立って、壮大な発展段階論を展開したのが、ハイマン・ミンスキーだった。彼は、資本主義の発展段階を以下の5段階に分ける。13)

①商業資本主義の段階:1607-1813年

②産業資本主義の段階:1813-1890年

③銀行家資本主義の段階:1890―1933年

④経営者(法人)資本主義の段階:1933-1982年

⑤資金運用者(ファンドマネージャ)資本主義の段階:1982年―

 レーニンは、①―③の段階を目撃しただけだったが、ニューディールを転機として半世紀の間、修正資本主義的改革の時代が続いた。その結果、④の経営者資本主義の段階が現れてきた。産業資本主義段階の特質が「否定の否定」を介して高次復活を遂げ、生産力の一段の発展を導いた。

 1982年以降になると、⑤の資金運用者資本主義の段階が現れてくる。地球規模での「キャピタルゲインの最大化」を求めて、③の銀行家資本主義の特質が高次復活してきた。

帝国とは何か

単なる「強国」というのは、弱小国に対しても独立した国家として扱い、外交面で影響を与えられたらそれで良しとする国のこと。それにたいして「帝国」は、自国の影響下にある弱小国の内政面まで支配し、変えようとする。内政支配の行きつく先は植民地化となるが、そこまでいかなくても事実上の保護国、ないし服属国扱いして、弱小国の内政まで支配しようとする国は、共和国の政体をとっていても「帝国」としての相貌を身につけるものだ。とはいえ、強大な帝国として君臨しようとすると、植民地の領有が望ましいことはいうまでもない。14)

 ところで戦後に成立した国際連合では、戦争の原則的禁止,領土獲得や賠償金の禁止,先制攻撃や復仇の禁止などが定められた。戦争の発動にたいして幾重にも拘束が加えられたわけだ。

 冷戦時の戦略も例外ではなかった。国連憲章に従い、ソ連圏を軍事的に打倒する策をとることは自制し、既存の勢力圏内に封じ込め,経済的・文化的に自壊させるという持久戦略を米国はとった。世界的な力関係の変化を受けて、19世紀的な「むきだし帝国主義」は「規制下の帝国主義」ヘと変貌を遂げたのである。

軍事研究開発と新しい植民地空間の創出

 第2次大戦から1975年頃まで断続的に続いた植民地体制の崩壊は、イギリス・フランスといった諸国には深刻な打撃となり、帝国主義的な政策の継続は難しくなった。

 しかし米国のばあい、帝国主義的な政策を継続するにあたって、有利な条件に恵まれていた。米国のばあい、軍事研究開発の成果を活かして、これまでの領土空間とは異なる新しいタイプの空間を作り出し、「事実上の植民地」のように利活用できる方式を開発したからである。

 新しいタイプの植民地的空間とは次の3つであった。すなわち①極微――原子核エネルギーの空間、②極大――宇宙空間、③極微と極大という2つの空間を接合・融合することで生まれた電子(サイバー)空間。

 米国は、これら3種の空間を「事実上の植民地」として差配するとともに、これら空間の利活用をどの国にどこまで認めるか、認めないかを裁定するパワーも独占してきた。

 これら3空間の連結と融合こそが、冷戦後の「新軍事革命」(Revolution in Military Affairs, RMA)の実体であり、おかげで、他国の追随を許さぬ「独占軍国主義」の国家を米国は築くことができたわけだ。

 こうして米国は、「敵の脅威」と新軍事革命の「無敵の威力」とを共に誇大に宣伝し、勢力圏内の民衆の不安と対米依存心を煽り立てる一方、世界70ケ国に800ケ所に及ぶ米軍基地を張り巡らし、地球規模に広がる「基地国家」として世界に君臨してきた。15)

Ⅲ.新軍事革命がイラク中東戦争の開戦を促進した

――「新帝国主義」への回帰の試みと挫折

「もう一つの世界(新帝国主義)への復帰」は可能だ

 ソ連が崩壊し,「共産主義の脅威」が後退すると,再び資本と軍事の非情の論理が,安心して自らを貫くようになった。アラジンの魔法のランプから抜け出した悪魔のようにマネーの力と軍事力とは,規制による拘束を脱ぎすて,惑星規模で雄飛し,宇宙や電子空間にベースを築き,人々の生活と地球環境を支配するーーそんな時代がやってきた。

 1990年代末のクリントン政権末期になると、「独占軍国主義国」および「軍事基地国家」としての米国のパワーは一路増大すると見る政治潮流が台頭してきた。「ネオコン」(新保守主義者)と呼ばれるグループが、それである。16)

 2001年1月、「儲かる新帝国主義」(「規制下の帝国主義」では儲からない)を実践すべく,ブッシュ大統領をかついで、ネオコンたちが米国の実権を握った。米国の単独覇権の確立をめざして,むきだし資本主義・新帝国主義へのUターンを試みる時代が始まった。 

 米国に立ち向かう「ならず者国家」の代表は、イラクと北朝鮮だったが、「ならず者国家」の転覆・体制転換の優先順位のトップはイラクだった。「アメリカ帝国」の復活に役立つような戦略資源は北朝鮮にはほとんど無かったからだ。「夢のような軍事力」を使って,イラクを制圧できれば、採算コストが抜群に安く高品質のイラクの油田を支配できるし、中東の石油資源,中央アジアの天然ガス資源を米国が支配できるならば,成長著しい中国・インド・ヨーロッパもコントロールできる。「儲かる帝国主義」を再建するという「夢」が実現できるとネオコンの面々は奮い立った。

米国の新型戦争システム――宇宙ベースのネットワーク中心型戦争

 ソ連圏の崩壊後、世界に君臨する唯一の覇者となった米国は、新型戦争システムの開発の先頭に立った。要点は次の2点だった。①核大国間で核戦争が起こる可能性は小さくなったとはいえ、宇宙領域を含めた核抑止の態勢を整えておく必要がある。②核兵器を持たぬ国・勢力との間で非核戦争を戦うばあい、確実に圧勝できるためのシステム開発が急務となった。

 まず米国および同盟国の戦力、地球上に散開する基地群は、軍事専用の通信網で結ばれ、ネットワーク状に連結された。地球上に展開する戦力を垂直方向から観察すると、米国戦略軍宇宙コマンドの指揮と管理のもと、地上から数百キロの近距離軌道、2万キロの測地(GPS)衛星軌道、3・6万キロの静止衛星軌道を、2006年時点で137基の軍事・諜報衛星が編隊を組んで周回していた。17)

 戦争システムを束ねる神経系統は天空に移され、衛星を介して統合作戦を指揮するようになった。軍事衛星編隊は、米国本土外で米軍が展開している800ケ所の基地の上に君臨し、これらを連結し、統合する「基地の基地」、「基地の王様」となったわけだ(衛星への武器搭載を自粛してきたため、今のところは「裸の王様」だが)。新世紀の米国の新型戦争のしくみを「ネットワーク中心型戦争」と呼ぶ人が多いが、18) 宇宙衛星群を結節点とし、宇宙規模でネットワークが統合されたことを考えると、「宇宙をベース(拠点)とするネットワーク中心型戦争」と呼ぶほうが正確だと考えられる。19)

 冷戦後の世界では、多国籍企業により「グローバル・バリュー・チェーン」が築かれ、経済のグローバル化の新しい段階が始まったが、その用心棒の役割を果たすべく、天空に「プラネッタリー・ミリタリ・チェーン」が築かれた。経済のグローバル化(地球化)と符節をあわせ、軍事力の面では一段と高次元のプラネット化(惑星化)が推進されたわけだ。「アメリカ的生活様式を守るためにはアメリカ的戦闘様式が必要」というのが、新時代の合言葉となった。

 核作戦態勢の3本柱の再定義

 冷戦時代に形づくられた米国の「核作戦態勢(NPR)」は、「冷戦勝利後」の現実にあわせて何度か「見直され」てきたが、9月11日事件直後にブッシュ政権のラムズフェルド国防長官たちによって開始された「見直し」がもっとも大胆で画期的なものであった。

 2002年1月の「見直し」のなかで、旧来の「核作戦態勢の3本柱」――①大陸間弾道ミサイル、②潜水艦搭載の核ミサイル、③戦略爆撃機は、「新しい3本柱」――①核および非核の攻撃能力、②防衛、③迅速な対応能力をもったインフラストラクチャーへと変更された。①攻撃力、②防衛力、③即応性に富む基盤力が、核作戦を支える「新しい3本柱」として再定義された(第1図を参照)。旧来の核作戦の3本柱は、否定されたのではなく、そのまま維持されたのであるが、位置づけは変わった。すなわち旧来の3本柱は、核攻撃能力という第一の柱の内部に組み込まれ、格下げされた。

第1図  核戦略の3本柱の改訂

通常戦争分野への拡張

 核抑止力は堅持するが、攻撃能力を構成するミサイル・砲弾・機雷の多くは、通常型弾頭も取り付けられるように変えられた。核戦争のために開発されてきた戦争様式が通常戦争用にも開放されたわけである。20)

 冷戦時にみられたような軍事部門と非軍事部門とを隔てる分離の壁は低くなった。軍事製品に求められた冷戦時の「ニュークスペック」(核戦争を戦っても、耐えられるという核戦争仕様)のレベルは下げられ、より低レベルの「ミルスペック」(軍事仕様)に置き換えられ、民需仕様の部品調達も許容する方向で調達制度の改革が行われた。

第2の柱―戦争システムの防衛

 そのうえで第2の柱と第3の柱が新設された。

 攻撃能力と、戦争遂行の基盤(インフラストラクチャー)を敵の攻撃から防衛する部門が「第2の柱」として位置づけられた。米軍が先制攻撃を始めても、敵ミサイルの応射・反撃などから米国の戦争システムを守りぬくことで、一人勝ちできる態勢づくりが目指されたわけだ。ただしミサイル防衛のばあいも、イラクや北朝鮮、リビアといった非核保有国の通常ミサイルを想定すれば事足りるようになった。冷戦時のようにソ連の核ミサイルを宇宙空間でどう撃墜するか、敵ミサイルが宇宙で核爆発した際に発生する放射線や電磁パルスから、米国の軍事衛星をどう保護するかといった問題は、当面のところ後景に退くことになった。

第3の柱―インフラ基盤の構築

 「迅速な対応能力をもったインフラストラクチャー」の維持・強化が「第3の柱」として位置付けられた。GPS衛星、偵察衛星や開発・補修部門の支援なしには、(核・非核両用の)攻撃能力も防衛能力も十分には機能しないし、GPS衛星編隊が損傷を受け、機能を停止しても、即時に代替衛星を打ち上げるなど、継戦能力を確保しておかないと、21世紀の戦争をシームレスに戦い、勝利することが難しい。そこでこのようなインフラ基盤の整備・構築が第3の柱とされたわけである。

戦争システムの惑星化――天空からの指揮・命令

 これら新しい3本柱が、戦争の筋骨体系とすれば、戦争の指揮・統制・諜報・計画といった「神経系」の拠点は天空に移され、宇宙衛星編隊によって担われるようになった。第1図の新しい三本柱の構図が、「宇宙ベースのネットワーク中心型戦争」の実体を鮮やかに示している。21)

 要するに通常兵器をもちいた戦争も、核戦争と同様、宇宙ベースのネットワーク中心型戦争として戦われることとなった。作戦の範囲が水平的にも(防衛部門とインフラ部門を含む方向に)、垂直的にも(地表から宇宙へと)大きく広げられたわけだ。22)

 戦力の新しい3本柱を統括する任務を米国戦略軍が果たしている。ネブラスカ州オマハに司令部を置く戦略軍の傘下に、攻撃部門(「グローバル・ストライク=地球規模の直撃」部隊を含む)、防衛部門(サイバー・ミサイル防衛)、宇宙コマンド部門などが配されている。これらの部門コマンドが、陸海空軍に属する群小コマンドを統合し、指揮している。23)

Ⅳ.新軍事革命の実践が「泥沼」をもたらした

 米国は2001年10月17日にアフガニスタン戦争を、2003年3月20日にイラク戦争を始めた。テロリズムの根絶と大量破壊兵器の拡散阻止が目的とされ、「対テロ地球戦争」と喧伝されたが、実際には、イラク・イランから中東・中央アジアの石油資源地帯を制圧し、米国と西側の安定したエネルギー源にするというのが、戦争目的であった。

 核兵器をもたず、宇宙活動能力もない「安全な敵」として、アフガニスタンとイラクが選ばれた。これらの国を攻撃しても、核で報復されたり、米軍の宇宙アセット(軍事衛星などの資産)を攻撃される心配がないので、安心して先制攻撃ができるというわけだ。

 新軍事革命のおかげで、短期間で圧勝できるだろうし、500億ドル程度の戦費で勝負がつくとブッシュ政権は予想していた。戦争に勝利すれば、米国は中東の石油資源を再び掌握できるだろうし、経済的に十分にペイするというのが、ネオコンたちの皮算用であった。

 第2次大戦後に米軍が日本を軍事占領した折に、占領軍が日本で被ったテロ事件は皆無に近かった。イラクでも、サダム・フセインを倒しさえすれば、「圧政からの解放者」として米軍は歓迎され、日本でのような状況が再現するという期待もあった。

「本格的な宇宙戦争」の前段階

 新軍事革命の成果を遺憾なく発揮して、米英軍は2003年4月9日にはバクダッドを制圧し、5月1日にはイラク攻撃作戦の終了をブッシュ大統領は宣言した。40日間の有志連合国軍の戦闘行動中の戦死者は136名にすぎなかった。24)

 米兵の犠牲を減らそうと、2005年前後からドローン(無人飛行体)を多用したミサイル攻撃が行われるようになると、宇宙衛星を「基地」として、宇宙から地上に戦争をしかけるという色彩が一段と濃くなった。

 とはいえイラク・アフガニスタンで米軍は「本格的な宇宙戦争」を展開したと言うならば、過言であろう。あえて特徴づけると、「半宇宙戦争」段階の通常(核兵器を使わない)戦争を行なったとみるべきだ。衛星と戦場の間で交わされたのは、「情報」であり、未だ「殺傷兵器」ではなかった。ミサイルを発射しているのは、衛星ではなく、衛星の指示のもとで低空飛行する無人飛行体(ドローン)だったからだ。地上から宇宙衛星に向けてミサイルやレーザー兵器が発射されるようになり、対抗して衛星の側も武装し、地上の敵や敵衛星に向けて応射するようになった時に、本格的な「宇宙戦争」段階に入ったことになる。25)

戦争コストの暴騰

 イラク中東戦争の展開は、期待を大きく裏切ることとなった。サダム・フセインを捕らえ、殺しても、新たに無数のサダムが生まれ、イラク社会は解体し、内戦状態に突入していった。

 軍事予算(支出ベース)は、2000年2888億ドル、02年3432億ドル、04年度3991億ドル、06年度4416億ドルと増えた。米国ブラウン大学ワトソン研究所の試算によると、同時多発テロ以来、2016年までの12年間に米国が反テロ地球戦争に費やしたコストは約5兆ドルに達した。26)

 米兵の戦死者を減らすため、ドローン(無人飛行体)を多用し、ミサイル攻撃を行うと、まきぞえとなる民間人犠牲者が激増した。同様の傾向は、ベトナム戦争時にも現れていたのだが、27) イラク・中東戦争のばあいには自爆テロが頻発し、犠牲者中の民間人比率を激増させた。石油資源の確保という米軍の戦争目的の利己性に加えて、民間人犠牲者の激増は、「米国の戦争」にたいする現地住民の敵意と憤激を高め、米軍は孤立していった。28)

 他方、米国が獲得した政治的利益は小さなものだった。イラクの地にはイラン支配層に操縦されたシーア派の政権をすえざるをえなかったし、その結果、イラン・イラク・シリアをつなぐシーア派連合の登場をもたらした。シーア派の伸長を抑えようと、シリアのアサド政権の転覆に動くと、それに乗じてスンニ派原理主義の「イスラム国」が台頭するという事態も招いた。29)

 経済的な便益も期待を大きく下回った。イラクの有力油田の採掘利権の獲得企業を見ると、25・3%は英国・オランダ系、21・0%は中国系、8・4%はロシア系、7・6%をマレーシア系が占め、米国企業は20・2%と後塵を拝する結果となった。30) イラクの政権はイラン影響下のシーア派に牛耳られていたので、米国の思惑どおりに事を運ぶことができなかったからだ。

 新軍事革命のパワーを実証すべく、莫大な戦費と人的資源を投入したにもかかわらず、米国はイラクの石油資源さえ確保できず、中国・欧州・イランに漁夫の利をさらわれる結果となった。ベトナム戦争は8年で終わったが、イラク中東戦争はすでに17年に及ぶ。米国史上最長となったこの戦争が米国に及ぼした否定的影響は甚大であった。

Ⅴ.イラク中東戦争の波及効果

原発・核施設の防衛コストの暴騰

 「核の火」とは宇宙の火、原子炉とは「ゆっくりと爆発する原爆」のことであるが、この暴龍を飼いならし、「魔法のランプ」内に閉じ込め、電源として利用することは可能だとされてきた。

 イラク・中東戦争の導火線となったのは、2001年9月11日の同時多発テロ事件であった。ハイジャックした大型航空機を全速力で原発・核施設に突入させていたとしたら、どのような結果となったかという問題をこの事件は提起した。当時の安全基準では、原子炉の爆発を防げないということが判明し、米国内の原子炉の安全基準が大幅に引き上げられるきっかけとなった。

 10年後の2011年3月12-15日に、福島第一原発の4つの原子炉が爆発した。核燃料の冷却プールの電気回路を破壊しさえすれば、原子炉の爆発が誘発されることを、福島の事故は世界中の軍事集団に教えた。どんなに弱小な軍事集団であっても、自爆テロなどの方法で原発を攻撃する覚悟さえあれば、原子炉爆発(放射性物質の爆発的放出)を起こす能力を持つ時代が来たことを、福島は明らかにした。31)

 イラク・中東戦争の余波を受け、シリア・イランの原発は、イスラエル軍機によってくりかえし爆撃されてきた。中東全域で原発の防衛コストが高騰し、ヨルダンやトルコなど各地で原発設置計画が中止されるケースが続出した。

 遅まきながら日本の原発の安全基準に、ミルスペックが導入される動きが始まった。たとえば2017年6月16日に関西電力高浜原発4号機の営業運転の再開が条件付きで認められたが、「特定重大事故等対処施設」を開設し、原子炉建屋に中型飛行機が突っ込むといったレベルのテロが起きた場合でも、核爆発の誘発を防ぐことが、再開の条件となった。ただしミサイルに直撃されたばあい、この程度の装備では、原子炉を守ることはできない。原子炉・再処理施設をすべて地下深くに移設できれば、ミサイル攻撃のリスクは小さくなるが、莫大な追加コストの発生が予想される。

 イラク・中東戦争は、原発へのミルスペック導入を促す重要な契機となり、原発の生産する電力コストを暴騰させ、原発産業を衰退させる上での分水嶺の一つとなった。

漁夫の利を活かした中国・ロシアの台頭

 第2次大戦後の国連システムの形成,植民地主義の崩壊,中ソ対立のもとで,米中和解を進めると,中国の地でも国家的自立を保ったまま資本主義を発展させる可能性が生まれてきた。そうなると「餅は餅屋」という言葉があるが,生産力を伸ばすためには,中途半端な「国家産業主義体制」ではなく,本格的な資本主義システムを採用したほうがよい。外資の導入についても国家によって賢明に管理すれば,昔のように外国資本の支配を受けなくてすむという認識が広がった。その先覚者が鄧小平であった。

 中国では、毛沢東時代の「国家産業主義」から「国家資本主義」(国家=共産党と国有多国籍企業とによって管理された資本主義)への移行が進んだ。イラク・中東戦争で疲弊する米国の製造業とは対照的に、21世紀に入ると、中国は「世界の工場」に急発展するようになり、空洞化する米国製造業の穴を埋める役割を果たした。32)

 他方、プーチン政権のもと国家資本主義国として純化をとげたロシアでは、米国主導の軍事同盟(NATO)が1500キロも東に広がったという苦い現実に直面し、米国の拡張主義への不安と憤激が高まった。NATOの東方拡張を防ぐため、プーチン政権はクリミヤ半島を併合するなど、巻き返し反攻を始めた。ルーマニアとポーランドへの米軍の陸上イージス基地の設置が決まると、米国が築く核ミサイル防衛の壁を突破する決意をプーチン政権は表明し、核ミサイルの高速化・巡航化など、核軍拡競争を再開する姿勢を明確にしている。33)

Ⅵ.朝鮮半島の暗い影

――体制維持のための核ミサイル開発へ

 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれたのが1953年だった。以来65年もの間、なぜ終結協定が結ばれなかったのか。朝鮮戦争の終結を妨害し、冷戦期の「最後の遺構」を東アジアの一角に温存してきたのは誰か。北朝鮮とその支援者だろうか、それとも米国の軍産複合体か。

 朝鮮戦争を始めた北朝鮮側は、1980年代になっても武力統一方針を捨てなかった。1983年10月9日のラングーンでのアウンサン廟爆破テロ、87年11月29日の大韓航空機の爆破事件がその証左だった。祖国統一戦争の要員を確保するため、日本人を拉致する事件も80年代末まで続いた。

 しかし1991年のソ連の崩壊によって、北の方針が激変する。①武装闘争を停止し、祖国の平和的統一を追求する。②ただし体制転覆を狙って米国側が北進=軍事介入してくる危険があるので、これを抑止するため核武装を追求する。当時は、核武装は安価な自衛策だと思われていた節がある。

 新方針に則って、「祖国の平和的統一」攻勢が展開され、ついに2000年6月、平壌において金大中・金正日の南北首脳会談が行われ、朝鮮戦争終結への合意の大枠ができあがった。10月には、オルブライト国務長官が平壌を訪問し、米国も戦争終結に反対しない姿勢を示した。

2002年-03年の激変と暗転

 2001年9月11日に同時多発テロ事件が発生し、翌年1月にはブッシュ政権が発足した。3月7日にブッシュは、金大中をワシントンに呼びつけ、北朝鮮は「ならずもの国家」であり、打倒するほかないと説いた。

 ただし「ならずもの国家」打倒の第一ターゲットはイラク、第2ターゲットはリビアとなった。リビアのカダフィ政権は03年12月、核兵器など大量破壊兵器開発の即時かつ無条件の放棄に合意した。見返りに米国は制裁を解除し、06年5月には国交回復に至った。しかし背後で米国諜報部が内戦を煽り、11年10月20日に反政府軍によってカダフィが殺害され、体制は転覆された。

核ミサイルを持たないかぎり、体制は守れない

 米軍による軍事攻撃・体制転覆を防ぐには、核ミサイル開発を行い、核抑止力をもつ以外にないと北朝鮮の金正日政権は判断し、「先軍態勢」づくりに励むこととなる。核抑止力によらずとも、キューバやベトナムのように民衆パワーに依拠して、体制を維持・防衛することもできたはずだが、このような道を歩む主体的条件はないと金正日政権は判断したのだろう。

 こうして北朝鮮は、核ミサイル体系の完成のために総力を注ぎ、2017年末に念願の核抑止力を完成させるに至った。

 これより先の2017年1月に成立したトランプ政権は、北朝鮮を先制攻撃し、金体制の除去と核ミサイル体系の根絶をはかる計画を立てていた。同年3-4月になると、暗雲がたちこめ、一触即発の核危機が広がった。

 しかし先制攻撃を敢行すれば、核の交戦に至り、関係者の共倒れとなる可能性が高いことを米国軍部は認めるに至った。米国と北朝鮮の間にはすでにMAD(戦争になれば確実に共倒れになる相互確証破壊)が成立していることをトランプ政権が自認した時、北への先制攻撃という選択肢が断念されたのである。

 歴史的経緯をたどると、以下の事実が認められる。①1990年代以降、北朝鮮側は朝鮮戦争の終結と南北の平和統一を求めてきたこと、②新軍事革命という追い風を受けたこともあり、米国側は、北の体制の軍事的転覆という方針を変えず、朝鮮戦争の終結にも反対してきたこと、③「イラクやリビアの二の舞になりたくない」という体制保持のための抑止力の確保が、北による核ミサイル開発の目的であったこと、④したがって韓国と米国の側が、軍事攻撃による北の体制転覆を行わないことを約束し、朝鮮戦争の終結に合意するならば、北にとっては核ミサイルを保有する理由がなくなり、朝鮮半島の非核化実現の条件が生まれること。

 2017年12月の冬期オリンピックの南北共同開催以降に生じた事態は、上の諸点を裏書きしている。

Ⅶ. 「核ミサイル防衛」の落とし穴

 ミサイル防衛(以下MDと略)の「ミサイル」とは、「通常弾頭ミサイル」のことであり、MDとは、通常弾頭ミサイルを迎撃し、撃ち落とすものだと思い込んでいる人が日本では多い。

敵」のミサイルが、ロケット弾や通常弾頭を搭載したものであるならば、仮に撃墜に失敗したとしても、深刻な惨事を招くことはない。しかし東アジア地域において米国が想定しているターゲットは、中国・ロシア・北朝鮮のミサイルだ。MDが発動された場合、実際には、「核ミサイル」がターゲットとなる可能性が高い。

 敵の核ミサイルを100%撃墜できるとすれば、核戦争となっても、一方勝ちができる。「核戦争には勝者はいない、当事者はすべて敗者となり、共滅してしまう」というのがMAD(相互確証破壊)の想定だが、核MDが完成するならば、無傷で勝ち残ることができる。核MDを完成させ、MADの悪夢から解放されること――これこそが60年以上の間、核戦略家たちが抱いた夢であり、目標であった。

核MDは可能かーー3度目の挑戦

核MDの完成を目指し、集中的な努力が行われた時期が、これまで3回あった。

 1回目が1950年代からABM(弾道弾迎撃ミサイル禁止)条約が成立する1968年までの時期だ。この間に、敵の核ミサイルや爆撃機を撃墜、失速、マヒさせるための必死の努力が続いた。

 沖縄では、嘉手納にあった核弾薬庫をソ連の核ミサイルや爆撃機による攻撃から守るため、周辺8か所にMD施設が作られた。迎撃ミサイル(ナイキ・ハーキュリーズ)の命中精度は低かったので、核を搭載することにした。敵ミサイルに命中しなかったとしても、核爆発を起こせば、放射線・電磁パルスなどのパワーで、失速・墜落させることができるからだ。

 この点を確かめるために、1958年8月27日―9月6日に、南アフリカ沖の宇宙空間で核爆発実験(1.7キロトン)が3度行われた(アーガス作戦)。その結果、放射能の煙幕の程度では敵ミサイルを阻止することは難しいこと、むしろ宇宙で核爆発を起こせば、地上施設や宇宙衛星にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かった。

 1959年6月19日に、米軍那覇飛行場(現那覇空港)で核ミサイルのナイキ・ハーキュリーズの誤発射事故が起こり、1名の米兵が死亡した。迎撃ミサイルへの核の搭載には赤信号が灯った。

 2回目は、1983年―92年のSDI(戦略防衛構想)の実践期だ。当時のレーガン政権は、宇宙衛星にレーザー発射装置を付けて、ソ連の核ミサイルを撃墜しようとした。34) しかし、宇宙からの核MDは、技術的に不確実で、莫大な費用がかかることが分かり、SDIは失速し、ソ連の崩壊もあり、核MDの試みは、放棄されるに至る。

 それから30年がたち、核MDの配備をめぐって、3回目の模索が始まったわけだ。

現下の焦点――陸上イージスの是非

 現下の議論の焦点となっているのが、日本本土に陸上イージス施設を建設することをめぐってである。

 2017年4月末に米国は、韓国に高高度迎撃(サード)ミサイルを配備した。サードとは、40~150キロの高度で敵ミサイルを破壊し、撃墜するタイプのミサイルである。

 同年12月19日には米国側の働きかけを受け、安倍政権は、秋田県と山口県の陸上自衛隊用地内に2つの陸上イージス基地を建設し、SM3(ブロック2A)という迎撃ミサイルを配備することを決めた。

 米国は、何のために韓国にサードを配備し、日本には陸上イージスの建設を求めたのか。北朝鮮だけでなく、中国・ロシアの核ミサイルも、米国の戦争システムの中枢(グアム、ハワイ、米国本土・宇宙)に狙いを定めている。これらの核ミサイルが米国の戦争システムの中枢に届く前に、撃墜させるためにほかならない。日本上空を通過する段階では、核ミサイルはすでに200キロ以上の高度に達しているので、サードでは間尺にあわない。

 米国の戦争システムを北朝鮮の「報復攻撃」から守ることが陸上イージスの使命となろう。それはなぜか。核ミサイルを放棄しない北朝鮮側の核施設や首脳部の隠れ家に対して、まず米国側が奇襲の「首切り」攻撃を敢行し、これをきっかけに朝鮮戦争の再開に至るというのが、開戦に至る最有力のシナリオだからだ。

 先制攻撃された北朝鮮は、核ミサイルの応射で対抗しようとするだろう。SM3を用いると、北の核ミサイルを撃墜できるのか。陸上イージスを築いたとしても、同時連射、深海からの発射、攻撃ミサイルの高速化や巡航化、多数の囮弾頭の放出など、色々な対抗策があるし、過去の迎撃実験の実績から判断する限り、撃墜できる可能性は低いことも判明した。

 ここでは、ほとんど議論されてこなかった2つ対抗策について、説明しておきたい。

迎撃ミサイルが近づいた時点での核自爆

 迎撃ミサイルの接近を感知したら、ただちに爆発を起こせる感応装置、いわゆる「近接信管」を核ミサイルに搭載しておけばよい。核反応は化学反応の数千倍の速さで進み、わずか百万分の1秒で終わる。強力な水素爆弾のばあい、5段階の核反応が必要だが、所要時間は10万分の1秒程度だと推定される。35)

 北朝鮮の核ミサイルは秒速4キロで飛ぶとし、これに正面衝突する勢いでSM3が秒速5キロで近づくとしよう。両者は1秒につき9キロメートルの速度で接近し、あと1メートルで衝突という時点で、北のミサイルがSM3の接近を感知し、核爆発が始まったとしよう。10万分の1秒が核爆発の所要時間だから、わずか9センチメートル近づいた時点で、核爆発は終わってしまう。SM3が核ミサイルを追尾する形となれば、1センチメートルも追いつけない間に、核爆発は終わってしまうだろう。

 SM3が核ミサイルに接近できたとしても、核ミサイルは突如「妖龍」に変身し、天空から「核の雷撃」を下す公算が大なのである。核自爆が起こるのは、日本上空100キロから1000キロ程度の空域であろう。このような低い高度で核爆発が起これば、気体分子の電離が起こり、電磁パルスが発生し、地上の電気回線に深刻な障害が発生する可能性がある。 36)

標的変更――「裸の王様」を狙え

 巨費を投じて、核MDの壁を築いたとしても、敵は攻撃する標的を地上から天空に変更し、地上から2万キロの高度で核爆発を起こすことが考えられる。2万キロの高度には裸の王様のGPS衛星編隊が無防備なままで回っている。この高度で核爆発が起これば、GPS衛星の働きはマヒし、米国の戦争システムのみならず、経済システムの根幹が止まってしまうだろう。不用意に核MDを進めた場合、このような副作用を招く恐れがある。

宇宙での核爆発の影響ーー事前の環境調査の必要

 天空で核爆発が起こると、どうなるのだろうか。地表から21キロから400キロの高度で、米国は、1958年に5回の核実験を行った。部分核停条約で大気圏内と宇宙(高度100キロ以上)での核実験が禁止される直前の1962年になると、ジョンストン島上空の高層で9回の核実験(フィッシュボール作戦)を行なった。9回のうち成功したのは3回であったが、とくに7月9日、400キロ上空で1.4メガトンの核爆発を起こしたスターフィッシュ・プライム実験は、本格的な宇宙での核実験であった。400キロ上空ではほとんど大気がないため、爆発音も爆風も火災も起こらない。核爆発のエネルギーはもっぱら放射線と熱線、電磁パルスに姿を変えて、光速で周辺に広がり、その影響は数万キロ先まで届くことがわかった。その結果、水平線上に「赤い人工オーロラ」が発生し、ハワイ諸島全体に停電を引き起こしただけでなく、その後7カ月の間に、7基の衛星が機能を停止した。11月1日に97キロ上空で410キロトンの核を爆発させたキング・フィッシュ実験でも 、直後に美しいオーロラが現れ、太平洋中部の無線通信が3時間以上途絶した。

 また核爆発の後に発生する大量の荷電粒子が、宇宙空間に「高エネルギー粒子の雲」を形成し、地磁気の力を受けて、「強烈な放射線帯」(人工のヴァン・アレン帯)を形成すること、宇宙衛星がこの放射線帯を通過するにつれて、衛星機器が故障することも分かってきた。このような放射線帯は、いったん形成されると、数ケ月は持続し、宇宙衛星を次々とダウンさせる。37)

 爆発の時点では死傷者も建物の破壊も発生しないが、電磁パルスによる大電流が送電線に入り込み、変電施設などは次々と焼け落ちた状態となり、スマートフォンやパソコンなどにも大電流が入り込み、破壊されてしまう。38)この問題を扱った2004年の議会報告書によると、復旧までに数年を要し、家庭の電気冷蔵庫は使えず、冷凍食品は腐敗し、衛生確保が困難となることから飢餓と疫病がまん延し、米国などの電力依存度の高い社会では、相当数の死亡者が発生する可能性があるという。39)

 原爆投下の9か月後にアインシュタインはこう警告した。「核の時代は、すべてを変えてしまったが、人々の考え方だけは昔のままだ。ここに最大の危険がある」と。核ミサイルと通常弾頭ミサイルとの間には決定的な違いがあることを見抜き、「核交戦には勝者はいない、共滅あるのみ」という真実の直視から、私たちの行動を組み立てる必要がある。

Ⅷ.「希望の惑星」を保全する

――再規制資本主義・ポスト帝国主義への展望

朝鮮半島における新事態

 昨年末の段階で、北側は、核抑止力の確立を宣言し、これ以上の核ミサイル開発に巨費を投じることを中断すると声明し、18年初めの宣言では、北の体制の存続保証と朝鮮戦争の終結という北側の主張を米国側が認めることを条件に、核ミサイルの段階的放棄、朝鮮半島の非核化の実施を誓い、米国側と協力するに至った。この北側の政策転換の基盤には、①核抑止力を確立し、半島ではMAD状態を作り出せたこと、②半島における紛争の根源には、朝鮮戦争の終結に反対し、北の体制の転覆をめざしてきた米国側の戦略があることを多数の韓国民が認識していることへの信頼、③100万人を超える数の韓国民衆が何度もキャンドル集会を行い、保守政権を非暴力で退陣させた、韓国民衆の平和創造の力量にたいする瞠目があったように思われる。

 なぜ米国のトランプ大統領は、朝鮮戦争の終結に反対し、北の体制を崩壊させるまで戦うという旧来の基本方針を踏襲せずに、路線転換をしたのか。トランプは、元来、軍産複合体との関わりの薄い人物だ。こどものような「イノセント・アイズ」(無邪気な目)をもって事態を見たとき、問題の根源には、朝鮮戦争の終結を妨害してきた軍産複合体の行動があること、北の政権の転覆をやめ、朝鮮戦争の終結に踏み切るならば、朝鮮半島の緊張の根源がなくなるという素朴な真実を見いだしたのであろう。東アジアに温存されてきた「冷戦の残滓」を解決できる絶好のチャンスが訪れている。

軍産複合体と「核仕様経済」の落とし穴

 秋田・山口の陸上イージス施設2か所の設置費用は、維持運営費も含めると4664億円となると防衛省筋は予測している。40)

 核仕様経済というのは、通常の非核経済と根本的に異なる。核戦争下で生き残るためにどれだけのコストを払うのが社会的に妥当なのか。いまだ宇宙規模の全面的な核戦争を体験したことがないので、社会的に必要労働量の計測は不可能に近い。「宇宙の火」を人知の世界に包摂することの無理が露呈せざるをえない。

地域世界の形成めざす国家間連携と市民社会の協働

 鳩山友紀夫元首相らの呼びかける「東アジア友愛の共同体」、中国共産党第19回大会で習近平主席が呼びかけた「生態文明」と「美麗社会」「小康社会」の形成、ドイツのメルケル首相が行った「資本主義の再規制」の呼びかけには、重なり合うものがある。41)

 国家(連合)と下からの市民社会のパワーとで再規制資本主義を実現し、「ポスト帝国主義」を実現するにはどうしたら良いのか。軍事抑止力に変わる「共通の安全保障」「人間の安全保障」を実現する方策とは何か。固定観念を捨てて、創造的な模索が求められている。

1)その点で示唆的なのが、ムハマド・ユヌス(山田 文訳)[2018]『3つのゼロの世界』、早川書房。ナオミ・クライン(幾島幸子ほか訳)[2017]『これがすべてを変えるーー資本主義vs気候変動』上下、岩波書店。西川 潤[2018]『2030年未来への選択』日本経済新聞社。 

2)新田 滋[2018]「循環する世界資本主義システムと反復・回帰する原理と段階」『季刊 経済理論55-1、2018年4月。飯田和人[2011]『グローバル資本主義論』日本経済評論社。 

3)福留久大[2016]「書評『マルクス経済学と現代資本主義』」『経済理論』 53-3、2016年10月、94頁。長島誠一[2016]「資本主義の発展段階(1)」『東京経大学会誌 経済学』291号、2016年12月。

4)たとえば藤岡 惇[2016]「帰りなん、いざ豊穣なる大地と海へーー『平和なエコエコノミー』の創造・再論」『立命館経済学』65-特別号13,2016年9月を参照。

5)藤岡 惇[2004]『グローバリゼーションと戦争――宇宙と核の覇権めざすアメリカ』大月書店、16-22頁。

6)後藤康夫[2017]「書評 岩田弘遺稿集――追悼の意を込めて」『季刊 経済理論』54-3、2017年10月、94-97頁。 

7)石川康宏[2015]「日本資本主義の発展をどうとらえるか」『経済』2015年11月号、36頁。

8)石川康宏[2017]『帝国主義論』の現代的意義を考える」『経済』2017年11月号、84頁。

9)この点で啓発的なのが、デビッド・コーテン[1997]『グローバル経済という怪物』西川 潤監訳、1997年4月、シュプリンガー東京、128頁。

10)カール・ポラニー[2009]『大転換――市場社会の形成と崩壊』野口建彦ほか新訳,東洋経済新報社、426頁。

11)井村喜代子[2016]『大戦後資本主義の変質と展開』有斐閣は、この問題にとりくんだ力作である。柿崎 繁[2016]『現代グローバリゼーションとアメリカ資本主義』大月書店も参照。 

12)ガルブレイス『新しい産業国家』(都留重人監訳)1968年、河出書房新社。ポール・バラン、ポール・スウィージー[1967]『独占資本――アメリカの経済・社会秩序にかんする試論』(小原敬士訳)1967年、岩波書店。萩原伸次郎[2018]『世界経済危機と「資本論」』新日本出版社、132-134頁。

13)横川太郎[2012]「ミンスキーの『資金運用者資本主義』と投資銀行」『経済理論』49-1、2012年4月、服部茂幸[2012]『危機・不安定性・資本主義――ハイマン・ミンスキーの経済学』ミネルヴァ書房、223-227頁。

14)藤岡 惇[2004]『グローバリゼーションと戦争』16-17頁。

15)ディヴィッド・ヴァイン[2016]『米軍基地がやってきたこと』西村金一監訳、原書房、5-17頁。

16)藤岡 惇[2003]「新しいローマ=アメリカ帝国の構築様式と第3世代の核兵器」『経済』2003年8月号、新日本出版社。

17)Union of the Concerned Scientists[2007] Space Security, 2007.

18)福島康仁[2013]「宇宙空間の軍事的価値をめぐる議論の潮流」『防衛省防衛研究所紀要』15-2,2013年2月号。大熊康之[2006]『軍事システムエンジニアリングーーイージスからネットワーク中心の戦闘まで』かや書房。大熊康之[2011]『戦略・ドクトリン統合防衛革命』かや書房の8・9章も参照。

19)藤岡 惇[2004]『グローバリゼーションと戦争』 73-81頁。

20)核兵器と通常型兵器のどちらをどの程度重視するかをめぐって、冷戦後の米国の軍部は「核の傘」派と「情報の傘」派に分かれて、暗闘を繰り返してきたことについては、藤岡 惇[2004] 79-81頁。

21)藤岡 惇[2015]「米国戦略との一体化は宇宙戦争と新型核戦争を招く」『季論21』2015年秋、102頁。

22) 日本国際問題研究所[2007]『米国の核政策および核軍縮・不拡散政策』2007年、のとくに第2章・第3章。

23)ウイリアム・イングドール[2011]『ペンタゴンーー戦慄の完全支配』為清勝彦訳、徳間書店、185・228頁。 

24)延近 充[2018]『対テロ戦争の政治経済学――終わらない戦争は何をもたらしたのか』105-106頁。 

25)藤岡 惇[2015]「新型核戦争システムと宇宙軍拡」『世界』2015年3月号、148頁。

26)James Fallows[2015] Tragedy of the American Military, Atlantic Monthly, Jan/Feb.2015,pp.76-84は、12年間の総コストを、4.5兆―6兆ドルと見積もっている。アンドルー・ファインスタイン[2015]『武器ビジネス 下』村上和久訳、原書房、286頁もほぼ同様の結論に達している。

27)藤本 博[2014]『ヴェトナム戦争研究――「アメリカの戦争」の実相と戦争の克服』法律文化社、第1・第2章。

28)この点を解明しようとした力作として、延近 充[2018]がある。とくに230-236頁を参照。進藤栄一[2017]『アメリカ帝国の終焉――勃興するアジアと多極化世界』講談社現代新書の99-105頁も参照。

29)藤岡 惇[2008]「ブッシュの8年間をどう見るかーー新帝国主義へのUターンがもたらした諸矛盾」『立命館経済学』57巻特別号、2008年11月。

30)『朝日新聞』2013年4月9日付け。

31) 藤岡惇[2014]「軍事攻撃されれば原発はどうなるか」、後藤宣代ほか『カタストロフィーの経済思想――震災・原発・フクシマ』昭和堂、328-330頁。 藤岡 惇[2015]「軍事攻撃されれば福島の原発はどうなるか」、木村朗ほか編著『核時代の神話と虚像』明石書店、288-290頁。

32)藤岡 惇[2012]「ソ連の本質は『国家産業主義』だった」『立命館経済学』61巻特別号12、15-16頁。

33)小泉 悠[2018]「ロシア『戦略ロケット部隊』の復活」『軍事研究』2018年5月号、80-93頁。

34)ウイリアム・ブロード[1986]『SDIゲームーースター・ウォーズの若き創造主たち』江畑謙介訳,光文社。経済優先度評議会[1988]『SDI――スターウォーズの経済学』藤岡 惇ほか訳,ミネルヴァ書房。

35)「北朝鮮の核開発どこまで」『朝日新聞』2017年9月7日。   

36)藤岡 惇[2018]「陸上イージスは核ミサイルを撃墜できるかーー天空で核爆発がおこり、日本を襲う公算」『アジェンダー未来への課題』2018年春号、71-73頁。

37)D.G.デュポン[2004]「ハイテク社会を揺るがす宇宙からの核攻撃」『日経サイエンス』2004年10月号、96頁。Daniel G. Dupont, Nuclear Explosions in Orbit, Scientific American, June 2004,

38)永田和男[2017]「高度上空の核爆発で起こる『電気がない世界』の恐怖」 “YOMIURI ONLINE”2017年5月24日付。

39) Report of the Commission to Assess the Threat to the United States from Electromagnetic Pulse(EMP) Attack, Vol.1[2004], 陸上自衛隊化学学校長を歴任した鬼塚隆志[2016]「高高度電磁パルス(HEMP)攻撃の脅威」『CISTEC Journal』166号、 2016年11月、133頁。

40)『朝日新聞』2018年7月31日。

41)『緑色評論』編集発行人の金鐘哲[2018]「安保論理を超えて平和共生の道へ」2018年8月6日ヒロシマ講演録。および大内秀明[2018]「バックスの『共同体社会論』に注目」『フラタニティ』9号、2018年2月、7頁。

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横川太郎[2012]「ミンスキーの『資金運用者資本主義』と投資銀行」『季刊 経済理論』49-1、2012年4月

経済優先度評議会[1988]『SDI――スターウォーズの経済学』藤岡 惇ほか訳,ミネルヴァ書房。

D.G.デュポン[2004]「ハイテク社会を揺るがす宇宙からの核攻撃」『日経サイエンス』2004年10月号、96頁。Daniel G. Dupont, Nuclear Explosions in Orbit, Scientific American, June 2004,

Report of the Commission to Assess the Threat to the United States from Electromagnetic Pulse(EMP) Attack, Vol.1[2004]

Impacts of the Revolution in Military Affairs to the Current World : Special Emphasis on Iraq and Korean Peninsula

                                      Atsushi FUJIOKA

   KEY WORDS:  Global War on Terrorism ,  Military-Industrial Complex,    Space-Based Network Centric Warfare

   SUMARY:

We are facing various issues to deal with, such as global warming, preventing nuclear war, as well as a growing gap between rich and poor. I will focus my analysis on how to regulate the war machine, id est. US based Military-Industrial Complex .

First I explain how a new war system named “Revolution in Military Affairs”,

embedded in the space-based network centric warfare system, has worked in Iraq and surrounding Middle East, and how has it brought out the tragic failure, as well as its  crucial links to the military confrontation in Korean Peninsula,  I emphasize the important roles played by Space based Missile Defense Industry, fostering to militarize and weaponized the outer space, thus provoking a new generation of Nuclear Missile Defense, by analyzing 2 Aegis Ashore Installation sites, which are planned to build in homeland of Japan.