平和学入門2018年レポート課題一覧


藤岡Aレポート(マナバへの提出、10月26日まで、18点)

 以下の問いの大部分にたいする私の見解は、「帰りなん、いざ豊穣の大地と海へ」(藤岡HPの「藤岡の論文を読んでみませんか」の冒頭の文献)のなかに収録されています。藤岡見解の積極的な点と弱点とを指摘しつつ、あなた自身の見解を積極的に展開してください。

Ⅰ.必答問題

(1) 宇宙のなかでモノ、イノチ、さらにはヒトを生み出してきた「造物主」とは何ですか。超自然的な「人格神」なのでしょうか。それとも自然の自己組織化活動の所産なのでしょうか。「アニミズム(弁証法)的唯物論」に立つ藤岡の「非有神論的な宗教性」(山川草木悉皆成仏)の提唱についても論評してください。

(2) ①イノチとは何ですか。あなたの意識(脳)がイノチを持っているのですか。それとも地球で30億余年引き継がれてきたイノチが、今あなたを生き、心身を自然体に発達させ、ある段階で自我意識を生み出してくれたのですか。 ②自我が発達してくると、イノチをある程度「財産」のように管理できるようになります。そのばあい、イノチはあなたの私有財産ですか。それとも一定期間管理を託された信託財産のようなものですか。後者としたばあい、誰から、何のために信託された「財産」なのでしょうか。沖縄のイノチ観を取材した草場一寿『毎日がいのちのまつり』を参考にしつつ、あなたの見解を展開してください。

(3) ヒトの直立歩行とともに「自然」から「社会」が枝分れし始め、農耕・定住革命が始まった1万年ほど前に社会から「政治」が枝分かれし、ほぼ同時期に社会から「文化」が枝分かれする動きも始まったとされます。また先進国では数千年前から社会から「経済」が枝分かれし始め、100年ほど前から「自己調整的な市場経済」が暴走する時代を迎えたといわれます。そもそも自然、社会、政治、経済、文化とは何であり、相互にどのような位置関係に立つのですか。藤岡見解(「帰りなん、いざ・・・」8-12ページ)を批判的に読解しつつ、あなたの見解を展開してください。

(4)「幸せ」とは何ですか。藤岡見解を要約したうえで、その積極点、不十分点を指摘し、あなたの見解を展開してください。

Ⅱ.選択問題 以下の11問から8問を選んで答えてください。

(1)宇宙史の歩みのなかで、ヒトなどの高等生物は何故、生まれてきたのでしょうか。「137億年の歳月をかけて、幾度とない陣痛(超新星爆発、銀河同士の交錯、中性子星・ブラックホール同士の合体など)の苦しみに耐えつつ、宇宙自身がついに自らの姿を捉える自己認識装置をつくりだした。これこそが、高等生物(異星人を含む)の位置と役割だ」とか、「『ノブレス・オブリージュ』(高貴なる者は義務を負う)を果たす限り、ヒトの尊厳は揺るがない」と主張する人がいます。この点について、あなたの見解を述べてください。

(2)①真(真理)を追究する学問、②善(正義)を追求する宗教・倫理、③美(高貴さ)を追求する芸術は、文化活動の3大領域だとされます。それぞれ何であり、相互にどんな関係に立っているのですか。「美しい人生」とは、どんな生き方のことなのでしょうか。具体例をあげて説明してください(カント『判断力批判』についての大澤真幸の説明を参考にしてください)。

(3) ①原始人のあいだで進行した直立歩行が、男女関係を変革したという説があります。すなわち、直立歩行のため膣(産道)が下に向いたことが、早産を促し、未熟児が成長し自立するまでの間、オスに子育て支援してもらうことが不可欠となった。そのためメスは、自らの体を発情期以外でも性交ができるボノボ(ピグミーチンパンジー)型に近づけ、オスとの間で長く続く生殖・子育て共同体を築くことで、オスの子殺しを減らし、情愛と共感力に富む社会を作り出したという説です。この説は、正しいですか。 ②世界どこでも男性の間には好戦的な志向、女性には紛争の平和的解決を好む志向が強いとされます。それはなぜでしょうか。

(4)「こころ」とは何ですか。どこにあるのですか。「自分探し」に熱中したあげく、「心理主義」の罠に落ち込み、挫折する若者が増えていると聞きます。「心理主義」の罠からわが身を解放するにはどうしたらよいのでしょうか。

(5) 皮膚の色や体格などの外見的相違から、ヒトの優劣を説明する人を「人種主義者」と言います。他方、ヒトには「民族」の相違はあっても「人種」のような違いはないと言う人もいます。

 ①6万年前に現生人類のアフリカ外への拡散が始まったとすれば、ヒトの外見的特徴の相違はいつごろ、どのようにして生まれてきたのでしょうか。「人種主義者」の主張は正しいですか。②中国人・朝鮮人、琉球人・アイヌと「日本人」との間の遺伝子的な違いや文化的な違いは、いつ、どのようにして生まれてきたのですか。 ③中国をCHINA、朝鮮をKOREA、日本をJAPANと英国人は表現しました。それは何故ですか。

(6)「エコノミー」(経済)と「エコロジー」(生態系)とは、ともに「オイコス」(棲家)というラテン語から生まれた派生語です。「エコノミー」と「エコロジー」とは、どんな関係に立っているのですか。サティシュ・クマールさんの説明が簡潔で、参考になるかと思います。検索してください。 https://www.youtube.com/watch?v=1xWczP0jhuI

(7)地球温暖化(気候変動の激化)をめぐって、人間原因説は誤り、自然原因説が正しいと説く言説が、エクソン社や富豪のコーク兄弟の支援の下で、米国と日本では猛威を振るい、トランプ政権の誕生に行きつきました。①彼らの主張は正しいですか。40万年にわたる大気中の二酸化炭素濃度の変化と気温変動との間には密接な相関があるとする資料の図は、何を物語っていますか。②2030年頃に温暖化が暴走局面に入り、2050年頃には、気温の4度上昇、海面の4メートル上昇が起こったとしましょう。世界平和にどのような影響が生まれるでしょうか。

(8)「正義」(Justice)とは何ですか。「気候をめぐる正義」(Climate Justice)を実現するためには、どのような政策と運動が必要となるのでしょうか。

(9) 動物と植物の共通のルーツである微生物(ウイルス・細菌・菌類)とは何ですか。肥沃な土壌のばあい、1グラムの土のなかに何匹ほどの微生物が生きており、乾いた砂漠のなかには何匹ほどが生息していますか。団粒構造を成し、発酵・発熱するような肥沃な土壌を作るにはどうしたらよいのでしょうか(藤岡見解は、「帰りなん」論文の補説「地球とミミズと経済学」参照)。

(10) ①ヒトの大腸のなかには、何匹の微生物が生きており、その重さはどの程度ですか。②現代の日本人の大腸内微生物の量と質、糞便の量は、戦前と比べて、どのように変化していますか。それはなぜですか。 ③発酵する美しい大腸フローラを創り、ヒトの健康と人間関係の健康(=平和)を増進するために、「パーマ・カルチャー運動」や家庭菜園、果樹・ハーブ園、手作りの食材・玩具・衣服などを作る運動が広がっています。共通のテーマは、「土人=自然人文明の高次復活」ですが、これらの運動をどう評価したらよいのでしょうか。

(11)ヒトが大人になるとはどういうことですか。「自己中心」の「生存欲求」の段階を超えて、「小我」を「大我」へと成長させ、宮沢賢治や聖フランチェスコのような「自己超越段階」の「宇宙市民」に発達していくにはどうしたらよいのでしょうか。

 レポートは、10月23-26日(金)深夜12時までにマナバのこの科目の「藤岡Aレポート」の部屋に提出してください。一度提出したレポートの再提出はできません。字数制限は設けませんので、存分に論じ、他の受講生に良い刺激を与えてください。


藤岡Bレポート (字数は自由、マナバへの提出は11月16日まで、6点)

 (1) 10月27日以降に他の受講生が作成した藤岡Aレポートを読み、もっとも刺激を受けたレポートを2点選びだし、そのレポートの末尾にある「コメント」のボタンをクリックし、レポートのどの箇所からどのような刺激を受けたのかについて、書き込んでください。そのうえであなたの書き込んだ2点のコメントをコピーし、誰に対するコメントであるかを明記して、Bレポートに収録してください。

(2) 10月30日(火)から11月11日(日)までBKCエポックホールにて開催中の「世界報道写真展 」を見学し、暴力・戦争・平和との関りで、もっとも刺激をうけた写真1枚(連続もののばあいは1セット)をとりあげ、写真の背景を調べるとともに、刺激をうけた理由をレポートしてください。なお写真展は、入場無料、9:30―16:30。入館は16:00まで。会期中は無休です。


神田浩史(11月27日授業内レポート試験、20点)

私(たち)に何ができるのか? 私(たち)は何をやらなければならないのか?

神田の授業で主題として取り上げてきた①南北問題の現状、②南北問題の構造的背景を踏まえて、「南北問題の解決に向けて、私(たち)に何ができるのか?私(たち)は何をやらなければならないのか?」について記してください。


中野克彦「多文化共生の経験と展望」レポート(12月25日まで、23点)

20 世紀後半以降、主に欧米社会において多文化主義が発展してきた経緯

とその背景について、アメリカの公民権運動、オーストラリアおよびカナダ

の多文化主義などの例を挙げながら説明せよ。また、多文化主義の理念と特

徴について説明するとともに、それが現在どのような課題と困難に直面して

いるかを述べよ。なお執筆の際には、以下のキーワードを用いること。

・構造的暴力 ・基本的ニーズ ・平等性 ・相互性 ・積極的平和

なお必ず直筆(肉筆)で執筆すること。 字数:2000字以上

提出期間:12月20日(木)―12月25日(火)。学びステーションへ。平和ミュージアム入館証を表紙の裏に添付すれば、3点を加算。


藤岡Cレポート(1月10日まで、18点)

以下の10問から8問を選び、「マナバ」Cレポートの部屋に提出してください。

藤岡Cレポート・中野レポートなどの作成に役立てるため、本日から12月23日(日)までに立命館大学国際平和ミュージアムを見学し、隅々まで探検してください。1階のメディア資料室は文献の宝庫です。最低1時間は必要なので、午後3時半までの入館が望まれます。ミュージアムは衣笠キャンパスの東側(馬代通)に位置し、土曜・日曜・祝日を含み(月曜日は休館)、午前9時半から午後4時半まで開いています(入館は午後4時まで)。学生証(別人のものは無効、受講生名簿と照合)を提示すると、ミュージアム受付で入館証明書をもらえます。この証明書を中野レポート(12月20日から12月25日(火)までに学びステーションに提出)の表紙の裏にホッチキス等で添付すれば、3点を加算します(午後4時―4時10分までの入館者には別色の入館証明書を出し、2点加点となります)。

1)テキスト『平和をめぐる14の論点』のとくに1・3・4・5・7・9・13・14章を読み、もっとも関心のある論点を選び出してください。そのうえで著者から学んだこと、不十分なところを示しつつ、あなたの見解を積極的に展開してください。

2) 立命の平和ミュージアム、「NHK戦争証言アーカイブス」、戦場体験放映保存の会の「戦場体験史料館・電子版―体験記録を見る」、Bridge for Peace の「元日本兵へのインタビュー&交流の公式ブログ」などを訪問し、もっとも衝撃をうけた戦場体験を1つ選んでください。そのうえで体験の背景を調べるとともに、衝撃を受けた理由を説明してください。

3) 今から81年前の1937年7月に上海で日中両軍の本格的な戦争が始まりました。日本軍は、上海での中国軍民の数ケ月におよぶ頑強な市街戦に難渋した後、中華民国の首都南京を攻略すべく西北西に進み、12月13日に南京城内に侵攻しました。攻略戦に参加した日本軍は何名、首都を防衛していた国民政府軍は何名ほどいましたか。意外な長期戦による兵站の不足から「捕虜は取らない、現地で処分する」という方針を日本軍が立てた結果、太平門、城外の幕府山・魚雷営など、多数の中国人軍民が殺されたという主張があります。便衣兵と国民政府軍支持の民衆との区別がつきにくいことから、一般民衆が殺害・強姦されるケースも多発したという主張もあります。1937年12月16日・17日の捕虜の処分問題の真相解明を試みた「南京事件Ⅱ」の映像作品(http://www.dailymotion.com/video/x6jhn9a)などをてがかりにして、この事件について論じてください。

 なお南京事件をめぐる論争史については、http://seesaawiki.jp/w/nankingfaq/  全般的な時代背景については、東海大学教養部の鳥飼行博研究室のHP(日中戦争の序章:盧溝橋事件・上海事変・首都南京攻略)http://www.geocities.jp/torikai007/japanchina/1937.html

が参考になるでしょう。

4)(1)日本占領地域で日本軍が管理した炭鉱・鉄鉱山、軍事基地建設のための強制労働キャンプはどこにあり、「万人抗」はどこにありましたか。規模はどの程度のものでしたか。ナチスドイツの強制収容所とは何が同じで、何が異なっていたのでしょうか。(2)遼寧省撫順の戦犯管理所に囚われていた1千名の日本軍戦犯が人道的取り扱いを受けた結果、全員が罪を認め、釈放・帰国できたという稀有の事例があります。このような「撫順の奇跡」はなぜ起こったのですか。

5)15年戦争中の「日本軍慰安婦」をめぐって2つの見解が対立しています。彼女たちの調達方法、現地での監禁の程度、人道に反する苦役といった点で比較した場合、他国でもよく見られた兵士相手の売春婦と同質の存在であり、日本側には非がなかったというのが第一の見解です。この見解にたつ論者は、「日本軍慰安婦」は「性奴隷」ではなかったとする論陣を張りました。 他方、他国と異なり日本軍のばあい、慰安婦施設の設営・管理に軍部が関与しており、敵国人収容所から連行してきた女性だけでなく、虚言・甘言で連れてこられた女性の間にも、行動の自由を制限され、「性奴隷」に近い境遇に陥った者が相当数いたという見解があります。 どちらの見解が正しいのでしょうか。日本軍慰安婦とされた女性たちの証言を聴き、その真実度を判断しつつ答えてください。インターネット上での情報サイト(Fight for Justice )も参考にしてください。

6) ①トルーマン政権は何のために、異なるタイプの原爆2発を中2日の間隔で投下したのですか。②日本をポツダム宣言受諾に追い込んだ決定的要因は、原爆の投下、ソ連軍の満州への侵攻に伴う日本軍の総崩れ、天皇制の条件付き存置の暗黙保証のうち、どれですか。③原爆投下の責任は誰が、どのような形でとるべきなのでしょうか。藤岡惇「原爆投下と敗戦の真実――米国の『アメとムチ』作戦の全貌』(藤岡のHPにあり)を批判的に読解し、あなたの見解を展開してください。

7) 安倍政権の思想的支柱となっているのは、「日本会議」と靖国神社だといわれます。①「日本会議」とは何ですか。安倍政権の閣僚のうち誰が、「日本会議国会議員懇談会」のメンバーですか。②靖国神社付属博物館である遊就館を訪問し(HPでの訪問のばあい、上映映画「私たちは忘れないーー感謝と祈りと誇りを」や「拝観者の声」は必見)、その歴史観について、立命館大学国際平和ミュージアムの展示と比較しつつ、評価してください。③現在の明仁天皇は、自民党の改憲原案にあった「天皇の元首化」を認めず、「象徴」としての役割を強調し、靖国神社への親拝を拒否しています。それはなぜですか。④同じ日本軍支配下におかれても、北朝鮮・韓国・中国人・フィリピン人・ベトナム人の間には日本支配への反感が強く、台湾人や蘭領インドシナ(インドネシア)人の間では、反感はそれほど強くないといわれます。それはなぜですか。  

8) ①「核爆弾」(核弾頭、核機雷、核砲弾を含む)とは何ですか。②「ブースト型原爆」は単純な「原爆」や「水爆」とどう違うのですか(藤岡惇「原爆投下と敗戦の真実」の注119)も参考にしてください)。③ 1958年と1962年に米ソ両国は、宇宙空間で核爆発実験を10数回行いました。その結果、何が判ったのでしょうか。④東京上空100キロ、GPS衛星編隊の飛ぶ2万キロ上空の天空で、1メガトンの核爆発が起こったとしましょう。地上の環境や宇宙衛星群に、どのような異変が生じるのでしょうか。

9) 日本には様々な核施設があります。現下のところ軍事攻撃にもっとも弱い施設はどこですか。ミサイル攻撃、航空機直撃、自爆テロといった軍事攻撃をうけたばあい、どの程度持ちこたえられるのでしょうか。この種の事件の発生を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。

10) 原爆投下50周年をきっかけに、アメリカン大学との間で始まった「日米を結ぶ原爆を学ぶ旅」は、昨年夏をもって休止しました。「向日葵とアンパンマンーー23年目のゴールイン」なる資料集(藤岡のHPにあり)を読み、以下の問いに答えてください。 ①900名の参加を得て、23年間続いた「秘密」はどこにあったのでしょうか。②関心をもった任意のテーマを深め、他の受講生のために成果を披露してあげてください。

藤岡D(最終)レポート(2月7日まで、18点)

以下の10問から8問を選んで、答えてください。

1) あなたの人生の目標(テーマ、ミッション、生きがい)とは何ですか。目標にアプローチする体力・気力を錬成するため実践・試行している「健康法」があれば、公開してください。

2) ヒトはなぜ死ぬのでしょうか。「死」の意味とは何ですか。昔からヒトは、ノブレス・オブリージに相応しい「死に方」を模索してきました。ジャイナ教徒や一部仏教徒は、絶食(水は除く)に入り、腐らずに枯れていく「自然死の作法」を実践しましたし、死体は火葬せず、遺骸を他の生き物に食べてもらい、その後に、洗骨葬を行う方式も各地に残っています。「潔くて美しい」とあなたが評価する「死の作法」について、論じてください。

3) ①北欧のデンマークやスイス、中米のコスタリカ、ブータン、旧琉球=沖縄などは、資本主義の土台の上でも、膨張志向で好戦的な「帝国」化の道を歩まず、内を耕す小国自足の道を歩み、屈指の幸福度を誇る国を築いたとされます。その秘密はどこにあったのでしょうか。 ②日本でも、20世紀初頭の時点で、内村鑑三・石橋湛山などは、「帝国」化の道ではなく、日本を小国型発展の道に導くための運動を行いました。どうすれば脱帝国化の時代に入った世界の趨勢に順応でき、戦争の悲劇を避けられたのでしょうか。藤岡「デンマークに学ぶ非暴力的な社会変革の道」を批判的に検討しながら、あなたの見解を述べてください。

4) 1940年代から70年代末までの「修正(規制された)資本主義」の時代には、世界的に資産格差が大きく縮小し、消費市場が拡大し、高度成長の時代となりました。 ①それはなぜですか。

  80年代の新自由主義(脱規制)時代になると、資産格差が急激に拡大するようになり、今日の米国では、最富裕層7名の資産が下位半数の1.6億人の資産に、全世界では最富裕層42名の資産が下位半数の37億人の資産に匹敵するに至ったとされます。②このような格差は、どのような仕組みで生まれてきたのですか。 ③格差社会は、デフレを激しくし、戦争を起こしやすくするという人がいます。その主張は正しいですか。根拠は何ですか。

5) 9・11事件を引金にして、米国は英国とともに、イラク・中東戦争を始めました。①開戦の理由・目的は何でしたか。②当事者同士の信頼回復、世界全体の平和と幸福をもたらすうえで、この戦争の功罪を評価し、教訓を引き出してください。藤岡「軍事経済から平和経済へ」および「ブッシュの8年間をどう見るか」(藤岡のHPにあり)を批判的に検討されることを奨めます。

6) 1950年に始まった「朝鮮戦争」は、68年を経ても終結していません。最初の40年近くは、武力統一方針を放棄しなかった北朝鮮側にも重要な責任がありましたが、ソ連崩壊後の1990年代に入ると、北朝鮮は従前の方針を放棄し、自力自衛の保障として、核兵器の保有努力を始める一方、「朝鮮戦争の終結」・「祖国の平和統一」を提唱するようになりました。その結果2000年前後になると、朝鮮戦争終結=平和協定と核兵器開発の中止との同時実現、南北の連邦化で合意寸前となるなど、「希望の時代」を迎えました。しかしその後一転して、拉致問題、核の秘密開発問題などが表面化し、核戦争前夜にまで紛争は深刻化しました。①朝鮮戦争を終結させ、信頼関係を再建し、平和を作り出すことを、誰がどのような目的で妨害してきたのでしょうか。②韓国の文政権や核「抑止力」を確立した北朝鮮政権の働きかけをうけ、トランプ政権は、朝鮮戦争の終結・北の体制の軍事転覆の放棄とひきかえに、「半島全体の非核化」を実現し、北朝鮮をベトナム化の道に誘導し、主敵を中国に絞るという方向に転換し、昨年6月12日の米朝首脳の共同声明に至りました。なぜこのような転換が生じたのですか。③朝鮮戦争の終結と朝鮮半島の非核化、信頼醸成と平和構築に進むには、どうすればよいのでしょうか。

7) 陸上イージスをはじめとするミサイル防衛をきっかけに、宇宙を舞台として未曽有の核軍拡競争が始まる可能性があります。専守防衛などの制約を取り払うため、改憲を行い、日米の軍事的一体化を強めていけば、結果的には日本と世界の平和と安全を増すことになるのでしょうか。それとも「核の時代」に人類共滅の危険を増やすことになるのでしょうか。東アジアにおける核戦争の危機を回避し、平和の道を拓いていくためには、何をしたらよいのでしょうか。

8) 米国のトランプ政権は、自国民の雇用と経済力を保全するために、保護貿易主義を取り入れ、対米貿易黒字国にたいして、「貿易戦争」を展開しています。なぜこのような転換が起こったのですか。この種の「貿易戦争」の暴発をコントロールし、世界平和を保っていくには、どうすればよいのでしょうか。

9) 国際連合や欧州連合の平和観は、帝国主義時代の伝統的な秩序維持論とは一線を画し、「コモン・セキュリティ」や「人間の安全保障」という考えに具体化しつつあります。①これらの考え方は、従来の帝国主義時代の遺物と何が違うのですか。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)もまた、東南アジア平和友好条約(TAC)を結び、紛争の仲裁と解決のしくみを築いてきました。②TACは、どのような成果と教訓を生み出しましたか。③このしくみを東北アジアに広げることは可能でしょうか。

10) 核戦争の暴発や地球温暖化を抑制しつつ、「格差社会」を是正し、「平和な世界」を築いていくには、どうしたらよいのでしょうか。藤岡提案の積極面と弱点を解明しつつ、もっと優れたあなたの試案を提起してください。枝廣淳子さんの未来共創フォーラムのHP https://www.es-inc.jp/も参考になるかと思います。

2月1日から2月7日(木)深夜12時(予定より2日間延長!)までにマナバに提出してください。