このサイトの使命

--平和なエコエコノミーの創造

地球上のどこに住まおうが、人間生存の土台を覆しかねない5つの危機が、進んでいます。

 第1に、この惑星が温暖化局面に入って1万年余が経ちました。この間に大量の氷が溶け、60メートルも海面が上昇し、氷河はフィヨルドに変わり、陸地は大きく縮小しました。加えて数十年前から、人為的原因によって温暖化が加速する時代が始まったのです。異常気象が、貧困化に苦しむ紛争多発地帯を直撃しています。

 第2に、新型コロナウイルスが生物界から人間社会に侵入し、世界的規模の疫病(パンデミック)危機に見舞われた問題です。地球上に生きる哺乳類の総重量11億トンのうち27%をヒト、64%を家畜が占めるに至り、野生動物の重量比はわずか9%に激減しています。疫病禍の根底には、野生動物の家畜化、人口増、生物多様性の減少、ヒトの高速移動と密集化の問題があるだけに、グローバル資本主義のシステムを維持する限り、疫病は繰り返し出現し、深刻化する恐れがあります。どうすればこの種の疫病に負けない社会を作れるのでしょうか。

 第3に1980年代を転機に「新自由主義的な改革」が進みました。資本主義経済は「修正資本主義=福祉国家」のタイプから19世紀的な「むき出し資本主義」の時代に逆戻りする様相を深め、貧富の格差が広がるようになったのです。実際、米国では最富裕層7 名の資産が、下位半数の1.6 億人の資産総額に,世界全体では最富裕層42 名の資産が、下位半数の37 億人の資産総額に匹敵するに至っています。超格差社会は、デフレ不況を深刻にします。不況克服のために、溢れかえるマネーを金融・土地市場に誘導しますと、金融バブルの崩壊の危機を招きますし、軍需産業部門に導き入れますと、軍拡競争と世界戦争の危機を招きます。労働の生産性の安易な上昇は大量の失業者を生み出すだけ。「人間を失業させるのではなく、エネルギーのほうを失業させる」エコ産業革命が実現できるかどうかに人類の未来がかかっています。

 第4に、ヒトの「自己家畜(社畜)化」に起因する、一連の問題です。教育の市場化が進み、「自己家畜化」に向けた「飼育」を受け続けた結果、動植物と会話する能力を失った人、わがイノチを「コモン」(社会の共有基盤)とは思えず、私有財産と考えて閉塞してしまう人、自殺・自傷に走る人、神経過敏症やうつ病の人が増えました。免疫異常、肥満、心臓疾患といった不健康も蔓延しています。共同体(家族や地域社会の絆)の解体が進んだ結果、親しい人に看取られずに死んでいく人が年間10万人に達しています。コロナ禍の下、各地の老人施設は孤立し、このような悲劇は加速しています。

 第5は、現下の焦眉の課題――核戦争の破局を阻止し、非暴力的な道を通って、平和な社会に移っていくことはできるのか、という問題です。 20世紀末、ソ連との「冷戦」に勝利した後、米国の支配層の間に、宇宙とサイバー空間の覇権を軸に軍事覇権を盤石にしようとする動きが強まります。そして2001年の同時多発テロ事件を好機として、中東・中央アジアのペトロ(石油・天然ガス)資源制覇のため、イラク・中東戦争をしかけます。しかし20年の間に7兆ドルもの巨費を投じたにもかかわらず、2021年、米国は中東から総撤退に追い込まれてしまったのです。
 この失策に乗じて中国が躍進した。ロシアも復調し、2022年3月にウクライナ侵攻を始めた。いまウクライナの地は、英米―NATOとロシアとの代理戦争の舞台になっています。東西の前線国のウクライナと日本とが、差し迫る「サイバー宇宙核戦争」の最初の犠牲国となる公算が大だと言われます。

 いま世界は3つのブロックに分化しつつあるようです。
 ⓵米英基軸の「軍産・情報・金融資本主義ブロック」は、軍事と情報の覇権をてことして、ドルを基軸とする金融覇権を死守しようとしています。   
 ②他方、このような欧米の伝統的な帝国覇権に挑戦するかたちで、「国権・資源・開発資本主義ブロック」が台頭しつつあります。このブロックには、覇権的な傾向を内在させた中国とロシアだけでなく、サウジアラビア・ブラジル・インド・南ア・イランといった新興経済国も結集し、19世紀的な「金―資源本位制」に復帰する動きを強めています。ドルに依存していては、現下のインフレに抗することができず、自国の富の価値を保存できないからです。国際通貨のドルは、往年の輝きを失いつつあります。
 ③これら2つのブロックから距離を置くかたちで、グローバルサウスを波頭とする世界の勤労民衆、原住民、女性、中小国が第3ブロックを形成しつつあるように見えます。宇宙核戦争の阻止など、上述してきた5大課題を解決するためにはどうしたらよいのか。第3ブロックが主宰して、「もう一つのオリンピック大会」を開いたらどうでしょうか。その場に、覇権国ブロックの代表選手を招き、「解決策の試技」を披露させ、80億の人類の支持を得るために、平和的に競いあわせるのです。
 莫大な軍事費を投じても、平和づくりが進まないのと同様、莫大な教育費、ケアや医療のための費用を投じても、健康づくりも人間の成長も難しくなってきました。健康な市民を育てるには、何をなすべきか。どんな社会を目指し、どのような運動を興したらよいのかーーそのための大きな海図を描き、信頼できる羅針盤を作り出すことを、このサイトの使命としたいと思います。

                              (2023年3月21日)