第1回レポート(4月25日―28日)
(1) 脳が記憶しているあなたの最古の心象風景ないし体験とは何ですか。何歳のときの心象風景ないし体験ですか?
(2)36億年ほど前に地球の深海の底で最初のイノチ(生命)が生まれたといわれます。イノチとは何ですか。「私」(脳・不変で安定した「自我」)がイノチを持っているのですか、それともイノチが「私」を生き、私の心身(可変で不安定な「自我」を含む)を自然体に向けて発達させているのですか。
(3)自然をヒト(脳)の外部にある外周として捉えたばあい、自然を「環境」(environment)と呼びます。他方、自然をヒトの土台であり、自然の内部で社会とヒトが生み出された(自己創成=自己組織化された)と捉えたばあい、「エコロジー」と呼びます。これら2つの自然観の相違・対立は、なぜ生まれてきたのですか。どちらの見方が正しいのでしょうか。
(4)「ココロ」(心、heart/mind/spirit)とは何ですか。どこにあるのですか。死んでも「ココロ」は「霊魂」(時には「幽霊」)となって生き続けると説く人がいますが、その説は正しいですか。
(5)700万年―200万年前の間に進行した直立歩行は、原始人の体重に占める脳の比重を急激に高め、未熟児の早産をもたらすようになりました。この困難に対処するため、原始人のメス(女)は、自らの性行動をボノボ型に近づけ、オスとの間で情愛にみちた安定的な家族関係を築くことで、チンパンジーに頻発するようなオスの子殺しを減らさせ、母子の生存を確保したという説があります。それは正しいですか。
(6)200万年ほど前に人類の直立歩行とともに自然から社会が枝分れし、6万年ほど前に現生人類のアフリカ外への再拡散が始まり、外見的特徴の相違が生まれ、1万年ほど前に社会から政治が枝分かれし、ほぼ同時期に社会から文化が枝分かれする動きが始まり、500年ほど前に社会から経済が枝分かれし、200年ほど前からは経済が暴走する時代が始まったといわれます。藤岡見解と斬り結ぶかたちで、そもそも自然、社会、政治、経済、文化(芸術・学問・宗教を含む)とは何であり、相互にどのような位置関係にあるかについてのあなたの見解を展開してください。位置関係を図示した「宇宙史の曼荼羅絵」も作成し、7月下旬の学びステーションへの提出時に添付してください。
(7)皮膚の色や体の外見的特徴の違いから、ヒトを「人種」として捉える考えがあります。他方、「民族」の相違はあっても「人種」のごとき違いはないのだという意見もあります。ヒトの外見的特徴の相違はいつごろ、どうして生まれてきたのですか。「人種主義者」の主張は正しいですか。
(8)①腐敗と発酵とは何が違うのですか。②腐敗ではなく発酵志向の強い、肥沃で健康な「土壌」とは何ですか。炭素循環農法や自然農法の実践者のなかには、「土」のなかの微生物の量と質(多様性)から肥沃度(発酵度)を説明する人が多いのですが、この見解は正しいですか。③病虫害・疫病に感染しにくい健康で野生的な動植物を育てるには、どうしたらよいですか。④免疫力・自己治癒力・発酵力が高くて健康で野生的なヒトを育てるには、どうしたらよいですか。⑤免疫力・自己治癒力・発酵力が高くて健康で野生的な社会関係や国際関係を築くには、どうしたらよいのでしょうか。
(9)人生の意味について2つの考え方があります。「自分で望んで生まれてきたのではないし、どうせいつかは死ぬし、死ぬ時は1人だから、死ぬまでは楽しいことをして、楽で得な生き方をしたい」というのが、第一の考え方です。これにたいしてアウシュビッツ収容所から生還したビクトール・フランクルは、「自然と社会はいったい私に何をしてくれるのかと問うてはならない。私を生み出してくれた自然と社会とが私に何を期待しているのかを探りあて、その呼びかけ(calling)の声に・・・正しい行為をもって応えることこそが人生の意味だ」(『夜と霧』)と述べ、同様の立場から宮沢賢治は「自我の意識は個人から集団・社会・宇宙と次第に進化する。正しく強く生きるとは、銀河系を自らの中に意識してこれに応じていくこと」だと歌いました。これらを第2の考え方としましょう。あなたは、どちらの考えに近いですか。どちらでもない第3の考えのばあいは、自説を展開してください。
4月25日(木)-28日(日)深夜12時までにマナバ+Rのこの科目のレポートの部屋の第1回レポートの部屋に掲載
第2回レポート 5月10日(金)―5月13日(月)
1)200万年ほど前に人類の直立歩行とともに自然から社会が枝分れし、6万年ほど前に現生人類のアフリカ外への再拡散が始まり、外見的特徴の相違が生まれ、1万年ほど前に社会から政治が枝分かれし、ほぼ同時期に社会から文化が枝分かれする動きが始まり、500年ほど前に社会から経済が枝分かれし、200年ほど前からは経済が暴走する時代が始まったといわれます。藤岡見解と斬り結ぶかたちで、そもそも自然、社会、政治、経済、文化(芸術・学問・宗教を含む)とは何であり、相互にどのような位置関係にあるかについてのあなたの見解を展開してください。位置関係を図示した「宇宙史の曼荼羅絵」も作成し、7月下旬の学びステーションへの提出時に添付してください。第1回レポートで答えた人も、より良い解答を求めて再度挑戦してください。
2)以下の4問から3問を選んで答えてください。
①知日派総帥のジョセフ・グルー(元駐日大使で国務次官)やヘンリー・スティムソン国防長官が付加したポツダム宣言草案第12条末尾の「現在の皇統下の立憲君主制の存続もありうる」という文言が、なぜ発表直前になって、ジェームズ・バーンズ国務長官やトルーマン大統領の手で削除されたのか。原爆投下直後に「天皇制温存」の約束を米国は発するようになるが、それはなぜか。トルーマン政権は、何のために庶民密集地区の上に、2発の原爆をたてつづけに投下したのか。
②米国は、どのような戦略目標をもって、日本に原子力産業と民間テレビ局の導入を図ったのか。読売新聞社主の正力松太郎と「党人派」政治家の中曽根康弘は、どのような役割を果たしたのか。
③19世紀から第一次大戦時までは、軍拡が戦争の勝利をもたらすばあい、その国の経済成長に役立つことが多かったが、冷戦期に入ると、逆に軍拡する国の産業競争力を阻害するようになったという説がある。その説は正しいか、誤っているか。1980年代後半から90年代初頭に「冷戦の経済的勝者は日本だ。中国革命と憲法9条のおかげだ」という説が主張されたことがあるが、この説は正しいか。
④ソ連の経済は、1960年代までは急成長し、発展途上国の「近代化・産業化」のひとつの成功モデルとなるが、その後は一転して低迷に陥り、1991年には破綻する。それはなぜか。ソ連型社会とは、マルクスたちがめざした農業と商工業、都市と農村の再融合、自然順応型の経済をめざす「社会主義」ではなく、帝国主義世界から自立した産業化(工業化、農業の化学化・機械化、大都市の形成、分業の促進)をめざす「国家産業主義」の1変種にすぎなかったと、藤岡は考えているが、この見解は正しいか。
5月10日(金)― 5月13日(月)深夜12時までにマナバ+Rの部屋に提出
第1回クイズ(5月17日―20日)
1)宇宙(自然)になぜ我々(ヒト)が存在するのでしょうか。137億年の歳月をかけて宇宙(自然)自身が、幾度とない陣痛(超新星爆発など)の苦しみに耐え、ついに自らの姿を捉える目や耳の部分をつくりだしたーーその部分が我々であり、そこにヒトの存在意義があるというのが、藤岡の見解ですが、この見解をコメントしつつ、あなたの意見を展開してください。
2)経済のような職業専門系でない学部では、「読み、書き、算盤、システム(弁証法的)思考」(枝廣淳子)を身につけ、「度胸と愛嬌と自分で考える力」を養っておくことが大切だという意見があります。この意見は正しいですか。社会で活躍する力を養うために、あなたは大学時代に何をしてきましたか。これから何をしたいですか。
3)他の受講生が書いた第1回・第2回レポートを読み、啓発されたレポートを3本選びだしてください。これらレポート末尾の「コメントを書く」ボタンをクリックし、「標題」に「(あなたの名前)からのコメント」と書き、啓発された理由を書き込み、「コメントを投稿」ボタンをクリックしてください。
第3回レポート(5月24日―5月27日)
1)以下の7問から5つを選んで答えてください。
① 米国のトップ層は、日本軍による真珠湾攻撃をどの程度予知していたのか。9・11の同時多発テロについては、どの程度予知していたのか。 ② 9・11事件に米国の友好国パキスタンの軍統合諜報部は、どのような役割を果たしたのか。統合諜報部は、その後オサマ・ビン・ラディンを長期にわたって匿ってきたが、それはなぜか。
③ 10年前にブッシュ政権は、仏・独・中・ロなどの反対をはねのけて、サダム・フセイン政権を打倒する先制攻撃型戦争を始めたが、それはなぜか。
④ 諜報関係に米国は、どの程度の国家予算を使っているか。宇宙衛星を使った巨大な盗聴網=「エシュロン」とは何か。その辞書コンピュータが「検索エンジン」の原型となったという説があるが、それは正しいか。 ⑤ 12年目に入ったイラク・アフガン戦争が米国に課した経済的コスト、関係諸国に及ぼした社会的・人間的・エコロジー的コストはどの程度のものか。イラクの石油利権の獲得先、イラク・イラン・シリアのシーア派枢軸の形成などを考慮したばあい、米国は戦争目的をどの程度達成したと評価できるか。
⑥ 宇宙衛星によって精密誘導されたドローン(無人機)攻撃とは何か。ドローンを用いた戦争は、「半宇宙戦争」であり、軍事衛星を標的とする「全面的宇宙戦争」を引き寄せるという意見があるが、これは正しいか。
⑦ 米韓合同軍事演習(キー・リゾルブ)が、本年2月27日から4月末まで実施されたが、核ミサイルの応射を予告するなど、北朝鮮が激しく反発したのは、なぜか。
2)5年前に「百年に1度」といわれる金融恐慌が発生し、巨大なキャピタルロス(株価と地価の暴落)が生まれた。莫大な公費の投入にもかかわらず、南欧諸国と米国の国家信用不安を招き、デフレと大量失業の危機を引き起こしている。なぜ、このような事態が起こったのか。最低限、①貧富の格差の拡大、②巨額の「キャピタル・ロス」の発生、③対イラク・アフガン戦争の挫折=「夢の新型戦争」バブルの崩壊、④漁夫の利を活かした中国の経済的躍進という4つの要因には言及してほしい。
第4回レポート (6月10日―6月14日)
1)「宇宙の火」と呼ばれる「核反応」は、地球上の「化学反応の火」とどう違うのか。福一の事故で大気に飛散した放射性物質の量は、チェルノブイリの事故と比較したばあい、どの程度か。冷却水などに放出され、汚染水となって、敷地内にする放射性物質は、前者のばあい、大気への飛散量の10倍に達するといわれるが、後者のばあいほとんどゼロだという。大気と汚染水の双方を含んだばあい、両事故における放射能の放出総量はどの程度のものか。参考文献:藤岡「福島の核惨事をどうみるか」は、乗松聡子さんの主宰するPeace Philosophy CentreのHPを参照。
2) 福一をはじめとする日本の原発は自爆テロ、航空機の直撃をはじめとする軍事的攻撃をうけたばあい、どの程度の耐性を備えているか。安心できるレベルに耐性を引き上げるには、どの程度の追加投資が必要か。
3)デンマーク国民は、1864年の対プロシア戦争の敗戦を契機に、不戦の国づくりに転換し、第2次大戦時のドイツ軍占領下にあっては9割のユダヤ人を守り、隣国に脱出させた経験をもち、エネルギー政策では原発を導入せず、25%を自然エネルギーでまかない、国民の幸福度調査では世界第一位となっている。資本主義体制のもとでも、このようなユニークな国づくりをなしえたのはなぜか。
第5回レポート(6月25日―7月1日)
以下の1)~6)にすべて答えてください。
1)立命館大学国際平和ミュージアム見学したうえで、以下の問に答えてください。見学日の入った赤の押印シールを受付でもらえますので、大切に保存し、レポート集提出の際に、第5回レポートの冒頭に貼り付けてください。押印シールがあれば、5点加点します。
ミュージアムの案内:衣笠キャンパスの東側、馬代通りに面す。特別展「ジミー・ツトム・ミリキタニ回顧展―日系人強制収容所と9.11を体験した反骨のホームレス画家」開催中。土日曜も開館、月曜日休館、学生証を提示すると無料で入場できる。午後4時までに入場、4時半に閉館。ただし本科目受講生にかぎり、6月22日(土)・23日(日)・29日(土)・30日(日)の閉館時間は、5時半、入場は5時までに延長する。
①平和博物館(平和のための博物館)とは何ですか。戦争博物館や軍事博物館とは何が違うのですか。21年目を迎えるこのミュージアムの設立経緯と特徴を調べてください。
②他の受講生は注目しないだろうが、重要だと考える「掘り出し物」のテーマをミュージアム展示(特別展も含む)のなかから一つ、探しだし、調べた成果を披露してください。
2)以下の①‐④から3つの問いを選んで、答えてください。
①1937年7月に日中両軍の本格的な戦争(北支事変、日華事変)が始まりました。上海に大軍を派遣した日本軍は、上海での中国軍民の4か月におよぶ頑強な市街戦に手こずりながらも、首都の南京を攻略すべく西進し、12月13日に南京城内に侵攻しました。「捕虜は取らない、現地で処分する」という日本軍の方針もあって、その過程で南京郊外と城内で多数の中国人軍民が殺害されました。これが「南京虐殺」とよばれています。ソ連軍がポーランド人捕虜を殺害した「カチンの森事件」、ベトナム戦争下の米軍による「ソンミ(ミライ)虐殺」、イラクにおける「ファルージャの虐殺」と比較したばあい、南京虐殺にはどのような特徴(量と質)があったのかを説明してください。鳥飼行博研究室のHP(日中戦争の序章:盧溝橋事件・上海事変・首都南京攻略)を参考にしてください。
②いわゆる「日本軍慰安婦」は何名ほどいたのですか。彼女たちの調達方法、現地での監禁の程度、人道に反する苦役で比較した場合、他国の戦争のばあいに多く見られた兵士相手の売春婦と基本的に同質の存在だったという見解と、異質であり「性奴隷」と呼ぶほかない人たちが相当数いたという見解とがありますが、どちらが正しいのでしょうか。日本軍慰安婦とされた女性たちの証言を聴き、彼女たちの証言の迫真度を判断しつつ答えてください。参考:江川紹子・大沼保昭「日本が誇るべきこと、省みること、そして内外に伝えるべきこと~「慰安婦」問題の理解のために」
③戦後50周年の村山首相談話で、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り・・・植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と述べました。これにたいして台湾の領有、大韓帝国の併合は、国際法上合法の行為であり、文明開化を促したのであり、謝罪すべきことではないという見解があります。この見解は正しいですか。誤っていますか。そう判断する根拠は何ですか。
④満州事変以来の15年戦争(アジア太平洋戦争)は、日本にとっては「自存自衛」、アジア諸民族にたいしては「独立を促した」戦争であったので、「侵略戦争」ではなかったという見解があります。この見解は正しいですか。間違っていますか。そう判断する理由は何ですか。
3)1人以上の外国人(日本国籍をとった外国出身者も可)にインタビューし、上記2)の①-④のいずれかの問いに対するその人の意見を聞き取り、報告してください(いつ、どこで、誰に対するインタビューであるかを明記)。
4)1945年8月に終わった戦争は、230万人の日本軍関係者の死(うち6割は餓死、16%が溺死、5割の遺骨は戻らず)、2千万人ともいわれる周辺諸国民の犠牲をもたらすかたちで、終結しました。このような惨事を招かない「別の国策」はなかったのでしょうか。どの時点でどのような別の道を選んでいたら、紛争のもっと平和的で創造的な解決がありえたのかを探ってください。
5)極東軍事裁判の判決を聞いて、長野県の小学校長の小林さんが、マッカーサー元帥に「7名の戦犯を処刑するな」という手紙を書いています。この手紙をどう評価しますか。この提言が実現していたら、日本の歴史はどう変わったでしょうか。
6)中国の東北部の撫順で行われた日本軍戦犯裁判では、人道的取り扱いをうけた戦犯容疑者のなかから大量の「平和の伝道者」が生まれ、「撫順の奇跡」と呼ばれています。南アフリカでは、マハトマ・ガンジーの教えをもとにアパルトヘイト下の犯罪の傷を癒す「真実・和解委員会」が開かれ、紛争の創造的な解決と和解のために大きな役割を果たしたといわれます。真実究明を慈悲と寛容を介して、関係の修復・和解・共生に役立てていくには、どのような裁判を行うことが望ましいのでしょうか。
第6回(最終)レポート (7月17日から7月23日午後4時まで)
以下の11問から6問を選んで答えてください。
1)世界の軍事支出は、隠された部分も含めると、年間、いくらほどになりますか。また「タックス・ヘイブン」や「地下経済」のしくみを活用して、地球上で課税逃れをしている資産の額は、世界GDP総額の何パーセント程度を占めているのでしょうか。
2)米国のCIA職員だったエドワード・スノーデンさんが、宇宙を基盤にした情報収集機関として知られるNSA(米国家安全保障局)の欧州・中国・日本に対する盗聴活動の実態を明らかにして、大きな反響を呼んでいます。2000年代初頭に問題になった「エシュロン」とは何がどう違うのでしょうか。あなたがもっとも注目する盗聴活動の実態について調べてください。
3)グラミン銀行は、貧しい農村女性を主な対象に小口融資をしているにもかかわらず、返済率は99%だといわれます。なぜそのようなことが可能となったのですか。いまグラミン銀行の危機が喧伝されていますが、マイクロファイナンスの積極面を伸ばしていくには、何が必要なのでしょうか。
4)フィンランドなど北欧諸国では、学校での学習時間は日本よりもはるかに短いのに、いわゆるPISA型学力が格段に高いと言われます。それはなぜですか。PISAの重視する「自分で考え抜く力」や「海・山・動植物たち、父祖の歩んだ歴史とのコミュニケーション力」を養っていくためには、どうすればよいのでしょうか。あなたが開発した秘策を披露してください。
5)デンマークのサムソー島では、エネルギー・アカデミーを立ち上げたソーレン・ハンマーセンを中心に、「サムソー2.0」のプラン作りが進んでいます。このような成果がもたらされたしくみを調べてください。
6)オランダでは、労働時間の大幅短縮(パートタイム化促進)や派遣労働者と正規労働者の同権原則を導入する方策で失業問題を克服しつつ、国際競争力も維持しているといわれます。なぜこのようなことが実現したのですか。
7)いわゆるトービン税(あるいはトービン―スパーン税)のアイデアが、国際「金融取引税」というかたちで、欧州では実現しつつあります。この動きをどう評価しますか。
8)今年の7月27日には朝鮮戦争の一時的停戦協定から結ばれて60周年となります。朝鮮戦争を終結させ、ベトナム型の開放経済のモデルに沿って自国を改革したいというのが北朝鮮の公式の方針だとされ、この線にそって何度も南北朝鮮の首脳会議が開かれ、朝鮮戦争を終結させる努力が誓われながら実現せずに、今なお戦争状態が続いています。それは、なぜですか。どのような勢力が何のために、戦争の終結に反対してきたのでしょうか。もし「朝鮮戦争」を終結させることができたならば、東アジアの平和と核をめぐる状況にどのような影響が出てくるのでしょうか。
9)ASEANは、外国との軍事同盟への加入の禁止、外国の軍事基地の撤去を外交の原則としています。①このような原則はどのような歴史的教訓を踏まえて出来上がったのですか。②TAC(東南アジア友好協力条約)とは何ですか。アセアン諸国や日本が抱える中国との領土紛争をTACや国連システムを用いて平和的に解決するには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。③2012年11月の東アジアサミットで、アジアを束ねた「地域包括経済連携」(RCEP:Regional Comprehensive Economic Partnership)の交渉開始が宣言されました。TPPではなくRCEPのほうが東アジアの平和創造と格差解消に効果的だという意見がありますが、それは正しいですか。
10)東アジアの平和と繁栄という大目的を達成するためには、尖閣諸島(釣魚島)や南沙諸島の領有権問題をどのようなかたちで解決するのが望ましいのでしょうか。世界史における領土紛争の解決の叡智にも学びつつ、あなたの意見を展開してください。
11)大地のなかに眠る化石燃料を掘り出し、燃やしてきたことが、近代文明のエネルギー的基盤でした。この動きを逆転させ、大気中の2酸化炭素を炭素と酸素に分離し、炭素を土壌と「海底の森」に埋め戻し、大地と海の豊穣度(微生物の含有量と多様性)を高める「黒色と青色のニューディール」を進めることが、世界平和のエコロジー的基盤となると藤岡は論じています。藤岡著の「平和の経済学」を読んで、そのメリット・デメリットを論評しつつ、あなたの見解を述べてください。なお「平和の経済学」は、藤岡のホームページhttp://www.peaceful.biz/ から入手できます。
7月23日午後4時までにマナバ+の第6回レポートの部屋に提出してください。
またこれまでの藤岡関係のレポート・クイズ解答類を提出日時のところも含めてプリントアウトし、期限内提出のばあいは、赤字でマークし、提出時期の早いものを上にするかたちで合冊し、「試験にかわるレポート』提出期限(7月23日)までに、学びステーション(7月23日の最終日は別室となる)に提出してください。
伊藤恵子講師へのレポート(7月3日―7月15日) (配点は25点)
5回にわたる授業では、「平和の経済」を支える地域・家族的基盤としての「菜園家族」構想について、その背景や内容の概要を講義しています。これら講義の内容や配布資料をふまえ、論文「菜園家族宣言――静かなるレボリューション」(小貫雅男・伊藤恵子、2010年)の中から、下記目次に○で囲んで指定した箇所を読んだうえで、その構想の骨子を記すとともに、あなたの意見を書いてください。
※この論文は、里山研究庵NOMADホームページに掲載中です。
☆書式・分量:A4サイズの用紙に手書きで2000字以上。
☆提出先:学びステーション
☆提出期限:2013年7月15日(月)午後17:00まで。受付開始は2013年7月3日からです。